「新しいお友達を紹介するぞ。7歳のミクちゃんだ。みんな仲良くしてくれよー?」
はーい。と口々に言い子供達は美玖から離れて遊び始めた。
女の頭を叩いて逃げている男の子、戦隊ごっこをしている子、縄跳びをしている子...。
そんな子供達を見て美玖は戸惑った。
この園内には手足が不自由な子はいない。
...美玖だけなのだ。
途端、泣き出しそうになった。
その時
「ねぇ、ミクちゃん遊ぼうよ。」
「ねぇ、ミクちゃん遊ばない?」
黄色い髪の顔がよく似た2人が、息をも合わせて話しかけてきた。
名札には男の子の方は“レン”、女の子の方は“リン”と書いてあった。
「美玖なんかと遊んでも楽しくないよ。他の子達みたいに走れないし...。」
「そんなことないよ。他にも遊ぶものは沢山ある。」
レンははにかみながら言った。
「そうだよ。あ、そうだ散歩しようよ!源太先生行ってきても良い?」
「帰るのが遅くならなければ良いよ。」
やったぁ!と2人は声を合わせて喜んだ。
美玖はそれを只々某然と見つめるだけだった。
外は快晴で空気が澄み渡っていて、清々しかった。
美玖の車椅子はリンが押してくれていた。
「ごめんね。ありがとう。」
同い年の子と話す機会なんて病院ではあまり無く、ましてや他人に自分の車椅子を押させているのが申し訳なく感じ美玖は俯いてしまう。
「別に良いよ~。あたしが押したくて押してるんだから!」
胸を張ってリンは答えたが、変な顔だったので美玖は
少し笑ってしまった。
「ふふ。」
「あ、ミクが笑った!」
レンは後ろ向きで歩きながら話していたが、レンが美玖の視界から消えてしまった。
「レン君!?」
辺りを見渡してもレンはいない。
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