Synchro NiGHT -4-
最近は本当に一日が長く感じられるのだ。まるで誰かが時間を操作しているように。
しかし、それはただ私が、未来を見ないようにしているからかもしれない。
私が見なくても、誰かが示してしまうというのに。
アイさんは緊急集会で告げた。
この街に危機が迫っていると。
ミヤといったあの子が、街を消そうとしていること。
そして今、リミットまで3時間だって。
そしてこんな時なのに、リノさんの姿が見えない。
ちら、と後ろを見ると、オウカとルア、ミツキの姿が見えた。
大事な話の途中なのに何か話してる、楽しそう…ではないみたい、怒ってるようだ。
集中して音を拾う。
スパイみたいだけれど、これは得意。
壁に耳ありっていうから、聞いてたとして、きっと許してくれるのです。
「先…越された」
「強制突破でいいかな」
「ミヤが邪魔されなければ、それでいい」
もしかしなくても、危険な会話だった。
しかも、ミツキがその会話に入ってるとなると…
いや、何かの夢であってほしいです。
グオァン
突然目の前に穴が空いた。
赤紫色の渦を巻く穴、そこから無数の光が舞っている。
ミツキが空間移動をする時のものだ。
人が集まっている場所で空間が開く。
そう、私の前にいた何百人という人が、引きずり込まれるようにして落ちていった。
真っ先に確認したのは、ゆかりの安否。
どうやら、無事のよう。
しかし、なんてことをしてるのか!!
「そこまでだ、ストーリーテラー!!
それ以上演説を続けるな!この街はあってはいけないのだ!!」
オウカが叫ぶ。ミツキが二つ目の空間を開き、逃げる人を落とした。
そしてルアは…アイさんの首を鎌で捉えようとしている。
「教師が生徒たちを、街を守ろうとして何が悪い!!」
鎌を羽ペンで払いのけ、三つ目の空間を作ろうとしていたミツキに受け流すアイさん。
ルアはとっさに鎌を幽体化、誰に当たることもなく鎌は見えなくなった。
「私たちは皆を救うんだぞ!!」
「その正義は押しつけだ、死を救済とするのはおかしいんじゃないか、ミツキ。」
アイさんはそういうと、羽ペンで虚空に何かを描き始めた。
狼に見えるそれは動いたかと思うと、いきなり立体化して現れた。
白色に光る体毛、青い瞳。
コヨーテのようなその子は低く唸ると、ミツキに飛びかかった。
あわてて目を瞑る。
しかしミツキは空間移動で、狼の攻撃を軽くかわした。
その間にも、次々と書き上げるアイさん。
ドラゴン、海龍、フェニックス…終いにはルアとミツキまで描き出した。
「みんな、オウカとルア、ミツキを止めて!!」
いや、同じ人が2人いるというのは少し…シュールです。
「目には目を、歯には歯を、なんだよ。ミツキとルアは士気を失くす…と思う。」
実際に、ミツキと相対したルア、ルアと相対したミツキは狼狽えていて、攻撃ができずにいた。
オウカの方は、三方を囲まれて動けない。
「みんな、避難!!」
指示を出したアイさんは私のところへ来た。
「さあ、リノのところにいこうか。時計塔にいると思うよ。」
わぁ、やっぱり…色々な感情が交差するこの場所で。
時計塔にいる弟、レイと話をしている。
もうすぐ会えるよって、言ってくれた。
安心しきっていたその時、突然リンの感情が途絶えた。
まさかとは思うが、心配になって外へ飛び出す。
集会所の辺りで切れたから、きっとそこ。
ああ、よかった、倒れてないじゃないか、心配させないでよ…?
パシュ
不意に羽に風穴が空いた。
必死で体制を立て直し、発砲主を見る。
リン…
金色の瞳。
続けて発砲された弾。
おしまいかな、さよなら、アルカ
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