深い青澄む海の底
閃々(せんせん)と光、降り注ぐ
絢爛豪華な我が城に
稀(まれ)なる客が訪れる
嬉しそうな亀の声
「恩人さまだ」と誇らしげ
家族を助けてくれたなら、
お礼をせねば名が廃る
鯛よ踊れ、鮃よ舞え
絢爛豪華な お食事を
雅やかなる音楽を
なんと楽しいことでしょう
なんと素敵な方でしょう
“浦島さま”と仰るの
幾度ともなく 紡ぐのは
あなたのお顔を見たいから
深い青澄む海の底
とりどり珊瑚も、鮮やかに
絢爛豪華な我が城の
お好きなところへ ご案内
楽しそうな そのお声
「あれは何か」と尋ねるの
子供のような はしゃぎよう
こぼれる笑みを 抑えまい
あちらをご覧、こちらをご覧
どちらも自慢の逸品です
かしこもわたしのお気に入り
どうぞ その目に入れてみて
どうぞ その手に触れてみて
壊れたりなど致しません
次から次へと見せるのは
わたしの “好き”を、少しでも
幾日、そうしていたでしょう
次第に曇る そのお顔
嫌な予感を募らせて
覚悟を決めて わけを問う
困ったように眉を寄せ、
そしてあなたは仰るの
「帰りたい」と、仰るの
分かっておりました
分かっておりました
陸にはあなたを待つ人が
あなたの帰りを待つ人が
わたしはひとつ、頷いて
お土産ひとつ、差し出して
あなたの背中、見送って…
玉手箱には あなたの時間
…知らないふりして、奪ったの
決して、決して開けないで
二度と会えなくなってしまう
とても、楽しかったのです
とても、楽しかったのです…
あちらをご覧、こちらをご覧
どちらも自慢の逸品です
かしこもわたしのお気に入り
どうか その目に今入れて
どうか その手に今触れて
忘れたりなど致しません
次から次へと見せたのは
あなたの “好き”を、少しでも
鯛よ踊れ、鮃よ舞え
絢爛豪華な お食事を
雅やかなる音楽を
とても、素敵な時間(とき)でした
とても、素敵な方でした
“浦島さま”と仰るの
幾度ともなく 紡ぐのは、
幾度ともなく 紡ぐのは、
あなたのお顔を 見たいから
【ひらがな】
ふかい あおすむ うみのそこ
せんせんと ひかり、ふりそそぐ
けんらんごうかな わがしろに
まれなる きゃくが おとずれる
うれしそうな かめのこえ
「おんじんさまだ」と ほこらしげ
かぞくを たすけてくれたなら、
おれいをせねば なが すたる
たいよ おどれ、ひらめよ まえ
けんらんごうかな おしょくじを
みやびやかなる おんがくを
なんと たのしいことでしょう
なんと すてきなかたでしょう
“うらしまさま”と おっしゃるの
いくどともなく つむぐのは
あなたの おかおを みたいから
ふかい あおすむ うみのそこ
とりどり さんごも、あざやかに
けんらんごうかな わがしろの
おすきなところへ ごあんない
たのしそうな そのおこえ
「あれは なにか」と たずねるの
こどものような はしゃぎよう
こぼれる えみを おさえまい
あちらをごらん、こちらをごらん
どちらも じまんの いっぴんです
かしこもわたしの おきにいり
どうぞ そのめに いれてみて
どうぞ そのてに ふれてみて
こわれたりなど いたしません
つぎからつぎへと みせるのは
わたしの “すき”を、すこしでも
いくにち、そうしていたでしょう
しだいに くもる そのおかお
いやなよかんを つのらせて
かくごをきめて わけをとう
こまったように まゆをよせ、
そしてあなたは おっしゃるの
「かえりたい」と、おっしゃるの
わかっておりました
わかっておりました
りくにはあなたを まつひとが
あなたのかえりを まつひとが
わたしはひとつ、うなずいて
おみやげひとつ、さしだして
あなたのせなか、みおくって…
たまてばこには あなたのじかん
…しらないふりして、うばったの
けして、けして あけないで
にどと あえなくなってしまう
とても、たのしかったのです
とても、たのしかったのです…
あちらをごらん、こちらをごらん
どちらも じまんの いっぴんです
かしこもわたしの おきにいり
どうか そのめに いま いれて
どうか そのてに いま ふれて
わすれたりなど いたしません
つぎからつぎへと みせたのは
あなたの “すき”を、すこしでも
たいよ おどれ、ひらめよ まえ
けんらんごうかな おしょくじを
みやびやかなる おんがくを
とても、すてきなときでした
とても、すてきなかたでした
“うらしまさま”と おっしゃるの
いくどともなく つむぐのは、
いくどともなく つむぐのは、
あなたのおかおを みたいから
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