背中に歌声が聞こえている。扉も、壁も、窓も、木も、空気すら震わせて、響く。
「全ては奇跡の名の下に。」
「全ては奇跡の名の下に。」
「全ては奇跡の名の下に。」
「全ては奇跡の名の下に。」
「全ては奇跡の名の下に。」
声など聞こえない、恐怖など感じない、迷いなど断ち切った。
「全員配置完了しました。」
「了解…raven…出撃します。」
私はずっと化け物でした、私はずっと異端でした、私はずっと独りでした、私はずっと闇の中でした。
『どうして助けてくれなかったんだよ…!』
貴方の言葉が私に迷いを生みました。
『お…怒らせちゃったから謝ろうと…思っ…て…!』
貴女の涙が私に愛しさを教えました。
『ありがとう…啓輔を…俺の大事な友達助けてくれて。』
貴方の言葉が私をどれだけ救った事か。
「西側に5名!誘導早く!」
「急げ!」
「東棟準備OKです!」
「後4本!」
ずっと解らなかった、解ろうとしなかった。自分を受け入れてくれる人間などこの世には居ないと諦めていた。
『―――助けて…。』
だから嬉しかった。
『―――――翡翠さんっ!!!』
貴女が呼んでくれる事が、助けを求めてくれる事が、私を愛してくれる事が涙が出る程嬉しかった。
「ワイヤー接合完了!離脱開始します!」
「走れ!早く離れて!」
「送電開始!」
一瞬の衝撃音と共に、糸の切れたマリオネットの様に子供達が崩れ落ちた。
「よっしゃあ!」
「一網打尽だな…こいつ等大丈夫なのか?」
「致死量電圧ではありません。銅線ワイヤーを一体に張り巡らせたので暫くは時間が稼げるでしょう。」
「電気の結界って訳か…あんたが敵じゃなくて良かったよ。」
「ええ、私もそう思います。」
「ハハハ!言うねぇ!」
BeastSyndrome -102.結界とマリオネット-
ワイヤーを張り巡らせて電気ショック。
良い子は絶っ対に真似しないで下さい。
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