茜さす夕涼み。
残光が脳裏で揺らいでる。
遠い夏の夢に
見上げた影法師。
通い慣れた商店街は
人もまばらで、
帰省(かえる)度に胸を
締め付ける。
ほら、思い出す。
あの境内に君を連れて。
祭り囃子は遠く、風まじり。
しゃらりん。しゃらりん。
ふわり香る
その瞬間に髪が触れて
はらんだ風はただ、
熱帯びて。
嗚呼、ゆらり溶ける
水面鏡は月を撫でて、
苺ジャムのついた頬照らす。
流れゆく時間だけが
僕らの手に降って落ちて。
泣いてみようか、
Time is over.
指の隙間すり抜けていくから。
燃え盛る炎がまた
月夜を背に舞って爆ぜた。
祈ってみようが、
拝んでみようが、
傷も面影も、儚く消えた。
吹きやんだ凪の暇(いとま)によせて、
見上げた影法師。
歪(ひず)んでいた。
さあ、茜さす夕涼み。
残響が脳裏にはり付いて。
遠い夢、笛の音に
火影が揺れた。
今は夢の中。
藍錆の街並と
残光が路地裏滲んでる。
遠い夏の夜に
不知火揺らめいて。
丘の向こう。
あの鉄塔の線を抜けて
はらんだ風いまだ、
熱帯びて。
嗚呼、ゆらり溶ける
水面鏡の月を撫でて、
苺ジャムを拭いた。
風、あざみ揺らして。
ひとつ、ふたつ無くしていく
隠れん坊。
誓った約束も
長い影伸びた帰り道。
忘れずいれるかな。
肩濡らす夕時雨。
残響が鼓膜に灼きついて。
土の匂い、雨音に
じゃらりと濡れた。
全部夢の中。
什麼生&説破(そもさんせっぱ)のやり取りで
互いの為だと嘘ぶいた。
遠い夏の夜。
あの日に帰ろうか。
なんて思ったり。。
茜さす夕涼み。
残像が脳裏にはり付いたまま。
淡い記憶、鈴の音に
火影が揺れた。
すべて夢の中。
藍錆の街並と
残光が路地裏滲んでる。
遠い夏の夜に
不知火揺らめいて。
遠く、遠く笛の音は消えていく。
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