ある日転校生が来た。
「僕の名前は、斬音 ケイ と言います。ケイって呼んで下さい。」
彼もまたボーカロイドなのだった。
土曜日 [どしゃぶり]
レン 「あ~すごい雨だ。ん?あ、ケイ~何やってんだ?」
ケイ 「ん?あ!レンさんこんにちわ」
レン 「あ、うんそれよりどうしたんだ?」
ケイ 「いや~買い物してたらこのザマです」
レジ袋を見ると林檎が2こと反対の袋にクサヤが入っていた。似ても似つかない二種類を一つずつの袋にいれていた。クサヤの臭いは強烈だから別々の袋に入れているのだろう。なぜこの二つの食物だけを・・・。
レン 「ケイびしょびしょじゃん」
ケイ 「そうなんですよ~いきなりの雨で傘持ってなくて」
レン 「あ、それならこの折り畳み傘貸すよ」
ケイ 「いいんですか?」
レン 「うん、これ予備だし、服ぬれてるし服も貸すよ」
ケイ 「え、じゃあお言葉に甘えて」
~数分後~
レン 「ただいま~」
ケイ 「お邪魔しま~す」
レン 「あ、今親いないからそんな緊張しなくていいよ?」
ケイ 「あ、はい」
無造作にタンスをかきわけていくレンを落ち着いた顔でみていた。
レン 「ん?顔になんかついてるか?」
ケイ 「あ、いえ!」
レン 「そっか。あ、あったあった。はいこれ」
ケイ 「あ、ありがとうございます」
レン 「じゃあ出てるから着替え終わったら言って」
ドアをしめるまえにもう服を脱いでいた。シャツだけだけど。
クマだらけの目、骨ばったあご、乾いたくちびる とは対照的に
体は平均って言うのも変だけどそんなに普通の人と変わりはない。
ケイ 「終わりました~」
自分の服を他の人が着ているちょっと変な感じだ。でも自分の服をケイが着ると、ぱっと明るく見える。服が明るいのか、性格が明るくなったのか、はたまた違う理由か、そこはもうどうでもよくなった。
レン 「じゃあ次着替えてくるから」
ケイ 「は~い・・・あの」
落ち着いた静かな声が耳に流れ込んできた。
レン 「ん?なに?」
ケイ 「ええと、僕と友達になってください!!」
その声は物静かで少々暗い声ではなく、明るい綺麗な声だった。
少し驚きながら、もうなってるじゃんとは言わず
レン 「うん、いいよよろしく」
と言った。その時ケイがうれし泣きをしているのをレンが知るはずもなかった。頬をつたって床に落ちていった。
ケイの始めて友達といえる友達ができたから・・・・。
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