どの社会にも、表と裏があります。
表の生活をする人には裏は見えず、裏で生活する人には表を見ずの社会。
このお話はそんな裏の社会のお話です。
裏社会で有名な『ヒットマン』と呼ばれる男、名前をジェシー・ウエスト。
彼の職業は殺し屋です。依頼を受ければ、どんな人でも殺します。ですが、殺しの値段は彼が決めます。以前ある組織に居た時は、誰彼かまわずに殺しました。
しかし彼の腕が裏社会に広まっていくと、彼は組織から抜けて一人で殺しの仕事を始めました。
一人になっても、彼の所には仕事がよくやってきます。
それは彼の腕が周りに認められてる証拠でした。
弱い人を苦しめている人を殺す値段はやすく、口封じなどで無抵抗な人を殺す時の値段はかなり高く取っていたいました。それは彼の信念のようなもの、弱い者には慈悲をという気持ちなのでしょう。
彼は次第に『偽善のジェシー』という名が付いていきました。
殺しで手にしたお金は、自分が生活する分を取って後は孤児院などの恵まれない人達が暮らす所に寄付していました。
彼は普段は、表社会で生活しています。組織に居た時は裏社会のみでの生活でしたが、独りになることによって周りのしがらみがなくなったせいなのでしょう。
そんな彼が、一人の少女の形をしたロボットに出会います。
それは偶然でした、彼が殺すターゲットが抵抗し無作為に撃った銃弾がそのロボットを目覚めさせたのです。
物語はここから始まります。
ジェシーがターゲットにしていたのはとあるマフィアのNo.3。なんでもコカインの横流しをしているらしい、それを快く思わない同じマフィアの人間からの依頼だった。
No.3ともなれば護衛のような奴も付いている、乱戦になった場合はジェシー一人では厄介になる。その為にターゲットが独りになる時を狙うのはセオリーとなる訳だ。ジェシーはきちんと計画を立てた上でそれを実行に移していた。
ターゲットはよく一人でとあるカジノにやってくる。そこは合法的な所、銃などは入り口で確認されて見つかれば没収されてしまう。おまけに中の人間に成りすまそうにも、セキュリティーがしっかりしていて個人管理が行き届いていた。
外から忍び込むことも不可能、なぜなら30階建てのビルの25階。ビルの中に入れない上にコレでは狙いようも無い。外からの狙撃にも防弾ガラスなどの処置もきちんとされている。
政府関係者ごようたしの、VIP専用カジノという訳だ。全体的にはホテルとなっているがやはり金持ちしかこれないような所だ。
ターゲットがそんな所に出入りできるのも、横流しがかなりの高い地位の人間に行っているであろう事がマフィア内で囁かれていた。
そんな所にジェシーは難なく進入を果たしてはいたのだが、そこからがいけなかった。
ターゲットとある程度距離を置いて、殺しのタイミングを計っていたのだがあろう事がターゲットがジェシーに気づいてしまった。
ターゲットは、本来持ち込み不可のはずのハンドガンを懐から出しジェシーに向けて発砲する。
ジェシーは慌てた、相手は丸腰だと思い込んでいたからだ。
カジノ内が大混乱になる、客達は非難しようと出口に押し寄せる。
それにまぎれて、非難することも出来様がジェシーはそうしなかった。
目の前にターゲットが居る、武装していようが彼には構わない。
(弾は撃ちたいだけ打て、勝負はソコからだぜ)遮蔽物に隠れて相手の出方を時にはじっくりと待ち、飛び出して相手に銃を使わせたりと相手を翻弄する。
「ちくしょー、出てきやがれ!誰だ、誰に頼まれた!!」
ターゲットは、大きな声でジェシーを威嚇する。
「さぁな、あいにくそれは言えないのが決まりだ」
ジェシーは、相手を怒らせるように言葉を掛ける。
(さっき、チラッと見えたな・・・あいつの銃。さっき撃ったのと、今撃ってきたので残りは5発か6発)ジェシーの持つ銃の知識により相手の弾数を計算していた。
「じらしてんじゃねーぞ、こっちにはまだ弾があるんだ。いい加減出て来いよ、丸腰のお前に何ができる」そう言ってジェシーをまくし立てる。
(やれやれ、こっちの考えは読まれてるのかね・・・。だけど!)
ジェシーは相手との間合いを詰めに掛かる。手には食事で使うフォークが握られていた。
(もうちょいかな・・・、いや、もういいか・・・)やり取りに痺れを切らしたのはジェシーの方だった。
腕時計のようなものの、スイッチを押すとジェシーの体からバチバチと電気が走る音がする。
ターゲットはジェシーが隠れている所から、青白い光が出ているのに気が付いた。
「パワードスーツだと!?」
パワードスーツとは、スーツ自体が特殊な筋繊維で出来ていて内臓バッテリーからの電気刺激を受けると人間の動きをサポートする。
そのシステムに、過度の電気刺激を与えた場合服が発光し本来人間の動きとは別次元の動きが出来るようになる。内臓バッテリーの要領はそれを長時間維持できない、さらには装着者には過度の負荷を与えるという不作用もあった。だが、彼にはそんな事は関係ない。
ターゲットが光を見た時、ソコにはジェシーは居なかった。ジェシーは次の遮蔽物に移動し、相手の動向を確認すると素早い動きで相手の後ろに回りこむ。
辺りにはジェシーが強く床を蹴る音しか聞こえない、しかしターゲットに見えないスピードではない。
ジェシーが相手を翻弄するように動いてるのだ、相手の視界に入らないように計算して。
たまらずに闇雲に銃を撃つ。弾が切れてポケットから予備マガジンを取り出したときだった、ターゲットは動けなくなった。正確には動かないのだ。
ジェシーの持ったフォークが首の後ろ、丁度脊椎の所に深く刺さり脳からの指令が体に行かない。
「まいったね、本当に予備まで持ってるなんてね」
ターゲットから銃とマガジンを奪うと、空のマガジンを排出させ予備マガジンを挿入する。弾を撃ちつくしたことによってスライドが下がった状態になっているので、スライドロックを解除する。
これによって初弾が装てんされた状態になったので、そのままジェシーはゆっくりターゲットの額に銃口を持っていき引き金を引いた。
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