「あの~羽鉦さん?」
「何だ?」
「私目の前でいっぱい食べられると見てるだけでお腹一杯になるんです…。」
「はへはいんならほれひょうらぃ、むぐもぐ…。」
「いや、何言ってるか判んないから。」

工音木徒、と名乗るその子は目の前で大量のケーキを端から頬張っている。昔飼ってたハムスター思い出す程の食べっぷりに見てる方がお腹一杯。何故こんな状況かと言うと…話は1時間前に遡る。
小火とは言え火災警報が気になった私は部屋を出た。だけど『第3棟』なんて棟は何処にも無くて、頭の中に「???」が飛び交っていた。仕方無く部屋に戻ろうとした時、丁度エレベーターから見知らぬ女の子が飛び出して来た。ぶつかった拍子にびっくりして尻餅を着いた所にスタッフが数名バタバタと走って来た。

「このガキ!大人しく…!」
「こっち来たらこの子ぶっ飛ばすからね!」
「え?…ちょっと…ぶっ飛ばすって…?」
「優雨さん…?ちょ、まずいって!ホラ彼女は…!」

いきなりぶっ飛ばすとか言われたし、スタッフはスタッフでヒソヒソ話始めたし…何この状況?と言うかこの子誰?プチ強盗とか?どうでも良いけど重いからどいて欲しい…。

「ホラホラよく判んないけど、この子ぶっ飛ばされたくなかったら、さっさと
 責任者呼んで来てよ!」
「さっきお前が蹴り飛ばしたのが責任者だよ!」
「え?嘘だぁ~あんな白髪超ロンゲの怪しい人が責任者とか有り得ないって。」

…羽鉦さんかな?失礼だけど確かにまぁ見た目インパクトは凄いよね、うん。妙に納得していると階段から明らかに怒りのオーラ満載で羽鉦さんが登って来た。

「おいクソガキ!何スズミ押し倒してんだ!どけ!」
「やーだ!羨ましいんでしょ!このスケベジジィ!」
「ブッコロス…ミンチにして焼いて捨てる…。」

羽鉦さん…怒りのポイントも例えも何かおかしな方向に行ってる…。何とか落ち着かせないと本当にこの子ミンチにされちゃうんじゃ無いかな?

「羽鉦さん、落ち着いて!相手は女の子なんですよ?!」
「だから何?と言うかどけ、今直ぐどけ、弾丸の如くどけ。」
「いーやーだっ…わわっ?!」

不意に体が軽くなった。見上げるとジタバタする彼女と、それを猫の様に掴む奏先生が居た。その持ち方はどうかと思うけどね…。

「何すんのよ放せ、放せ~!」
「食堂にケーキ用意したから取り敢えず3人でそれ食べて来なさい。」
「あ?」
「へ?」
「ケーキッ?!ほんと?!」
「毒なんか入ってないから好きなだけ食べなさい。」

よく見ると笑顔だけど明らかに目が笑っていなかった。もしかして感情が1周して変な方向に行っちゃったとか…?こ、怖いです!奏先生!と言うかどうして2人共そんなに怒ってるの?!誰か教えて!!

「ぷは~っ、美味しかったぁ~。」
「どこ入ったんだよ…。」

で、現在に至る、と。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -11.怒り過ぎて笑い出した-

※次ページはネタバレ用の為今は見ない事をオススメします。

兄が好きな人は見ても良いかも知れません。だって無駄カッコ良いから。

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投稿日:2010/05/25 01:55:44

文字数:1,187文字

カテゴリ:小説

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