1A.
逆さに回る時計の針が
刻むリズムで踊る
眠るあなたの横で
密かな戯曲を始めましょう

1B.（主）
ねえ　歌ってよ
夜を溶かしていくように
私は知らないの
だから二人で作りましょう

1B.(副)
テノールで
優しくね
一つさえ
失くしてしまった　あの歌も

1S.（主）
翻るドレスに赤が滲むわ
靴先にそっと口づけて
銀色の月が染めた純粋
指先までも残酷に
愛の味はなんて甘いの
これは罪かしらね？

1S.（副）
触れた頬が冷たくて
凍えぬように抱きしめ繋ぎ止めた
幸福なんて
欲しくもない
あなたさえ居てくれるのなら
未来さえいらない

2A.
逆さに映る鏡の中で
揺らぐ世界に祈る
眠るあなたの瞳
花びらで飾ってあげましょう

2B.（主）
ねえ　呼んでみて
夜を塗り潰すように
私は知りたいの
だから二人で誓いましょう

2B.（副）
私の名
耳元で
本当の
あなたの眼差しと声を

2S.（主）
組んだ両手に赤を滲ませ
十字架をそっと穢した
黄金の鍵が閉ざした永遠
指先さえも儚げに
恋の実はなんて脆いの
それは罰かしらね？

2S.（副）
撫でた頬が震えていた
失くさぬように秘密の園へ隠す
祝福など
望みもしない
あなただけ居てくれたのなら
過去だっていらない

2C.（主）
ああ　刹那に崩れる日々
零れ堕ちていく
掌に朽ち果てた薔薇

2C.（副）
瞳の奥微笑うあなた　

ラスS.（主）
閉じた瞼に赤を灼きつけ
虚構に縋り迷い込んで
鈍色の鳥が告げる終焉
指先よりも朧げに
幻想の蜜はなんて苦いの
これが罪かしらね？
これが罰かしらね？

それは疵跡かしらね？


ラスS.（副）
白い頬が濡れていた
偽るように道化の仮面飾る
赦しなんて
願わないわ
あなただけ居てくれるのなら
未来さえいらない
そう過去だっていらない

ええ今だけしかいらない