「りぃぃぃぃぃぃぃぃんちゃあああああああああああん!!!!!!」
「お誕生日、おめでとうございます!!」
「へ?」
いつも通りと花束と ―鏡音act2誕―
向こうから走ってきたact1に抱きつかれ、勢いで後ろに倒れた。ばたーん、と大きな音がたち、アペントが体を縮める。
後頭部と背中を打ち付けてしまって激しい痛みの中、上に乗っかったままのact1は顔をあげて、にんまりと笑った。
「あと、レン君もだね!!」
「もう一回、お誕生日、おめでとうございます!!」
公式設定の42キロより軽いんじゃないかと疑ってしまったact1を降ろし、立ち上がって埃を払う。
「えっと、どういうこと?誕生日は12月よ?前に祝って貰ったじゃない」
「act2は7月に発売されましたから」
「そっ!!作者が知らなかったらしくて、今日祝うんだよ!」
少し引いてきた頭痛がまた再発してきた。あれか、また騒がしい祭りなのか。
「いろんなところでお祝いされてるんだよ!!私たちがしないわけがないじゃん!!」
「日ごろの感謝も込めて、ですから」
「そう……」
こめかみを思わず押さえてしまったが、目の前の二人が姿勢を正したのに気付き、顔をあげる。
同じ顔なのに性格は違う「私」は、満面の笑みで言った。
「「お誕生日、おめでとう!!」」
二人の「リン」に、act2の「リン」は返す。
「ありがとう」
「「誕生日おめでとう」」
ぱさっと乾いた音と共に投げつけられた何かを条件反射で抱きかかえる。
見てみるとそれは大きな花束で、紫色の小さな花と黄色く丸い謎の物体、クローバーで溢れていて、黄色いリボンで結ばれている。
「act2発売おめでと」
「その花は、ベルフラワーってやつで、黄色いのはミモザです」
声の主は「レン」――もちろん、act1とアペントだ。
「なに、君ら男に花束プレゼントする趣味とかあったの?」
「いいえ、それはリンさん用です」
「お前に花なんかやるわけなかろうが」
茶化し気味に言ったのにスパッと切られ、少し悔しく思いながらも反論する。
「直接渡せばいいじゃん。何で俺に?」
二人は首を横に振った。
「act2先輩でないと駄目なんです」
「普通、自分のパートナーから渡されたいもんだろ」
あっさりと、言い返されて、とうとう俺は折れた。
「はい」
「え……?」
予想通りの反応が返ってきた。
「何?花束だけど嬉しくないの?だったら俺が貰っちゃうよ?」
「え、いや……ありがと」
まだ頭に疑問符を浮かべながらも大人しく受け取ったリンは、少しだけ頬が赤いように見える。
「act1とアペントから」
「あ……なんだ、そうなの。後でお礼言っておかなきゃ」
小さく肩を落とした彼女を横目に、俺は訊ねる。
「この花、なんか意味あるの?」
「花言葉って知ってる?ベルフラワーとミモザは感謝。クローバーは三つ葉だから幸福、よ」
「ふーん、四つ葉のほうが有名な気もするけど。あっ……」
漏らした声に首をかしげる目の前の少女に、花束の片隅を指さす。
「四つ葉のクローバー……?」
「みたいだね」
ねえ、これは……、と言いかけたところで、リンの顔が真っ赤に染まっているのに気付いた。
「どうし「うるさい!」
彼女はそのまま走り去ってしまった。
「何があったんだ……?」
小さな呟きは、リンに聞こえることはなかった。
act2には。
「あー、やっちゃったね……」
「まぁ、知らなかったからな……」
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「うん、もちろん」
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