月は細く、まるで誰かの忘れた指輪
池本は眠れずに水を飲む
猫は目を開けているのか、夢を見ているのか
闇のなかでも輪郭だけははっきりしていた
机の上には書きかけの言葉
「愛」と書いて、「忘却」と消したあと
インクの滲みが夜に染みて
猫は静かに背を向ける
時折、誰かの靴音が廊下に響く
池本は耳をすませて
“誰でもない”と知って、肩をすくめる
猫は一つあくびをして、時をまたぐ
やがて窓が青みを帯びるころ
猫が池本の胸の上に乗る
「生きてるか?」
そんな問いかけを目でしてくる
池本康弘は笑って、小さくうなずく
「まあな」
それだけを言って、腕を枕にした
猫は満足げに丸まり、朝を迎えた
日常という名の優しい牢
猫はそこに居て、池本もまた
言葉を紡いで、黙って、紡いで
今日もまた、誰にも気づかれずに始まる
猫の日常と池本康弘(つづき)
月は細く、まるで誰かの忘れた指輪
池本は眠れずに水を飲む
猫は目を開けているのか、夢を見ているのか
闇のなかでも輪郭だけははっきりしていた
机の上には書きかけの言葉
「愛」と書いて、「忘却」と消したあと
インクの滲みが夜に染みて
猫は静かに背を向ける
時折、誰かの靴音が廊下に響く
池本は耳をすませて
“誰でもない”と知って、肩をすくめる
猫は一つあくびをして、時をまたぐ
やがて窓が青みを帯びるころ
猫が池本の胸の上に乗る
「生きてるか?」
そんな問いかけを目でしてくる
池本康弘は笑って、小さくうなずく
「まあな」
それだけを言って、腕を枕にした
猫は満足げに丸まり、朝を迎えた
日常という名の優しい牢
猫はそこに居て、池本もまた
言葉を紡いで、黙って、紡いで
今日もまた、誰にも気づかれずに始まる
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