誰が最初に　そう呼んだろう
私の名前　どこに行ったの？
皆と同じ　感情だって　持っているのに

感情を　隠して生きて　仮面被って
町中に　幸福の雨　降らせるの
きっとそう　私の役目

"聖少女"　皆そう呼ぶ
手を取って　甲に口づけ
願いを言って　頭を下げる
でも私には　そんな力は　ありはしないの

仮面を取った　姿を知るは
たった一人の　弟だけよ
私の為に　生きてくれると　言ってくれたの

弟は　私の名前　呼んでくれるの
いつの日か　忘れてしまう　名前でも
きっとそう　"私"のすべて

"聖少女"　飢饉の年に
産まれ落ち　救世したと
そんな迷信　信じるなんて
きっと皆は　真実から　目を逸らしたいの

誰かに縋り　願いが叶う
そんな世界が　あるというなら
どうか私を　"聖少女"から　解放してよ

"聖少女"　皆そう呼ぶ
手を取って　甲に口づけ
願いを言って　頭を下げる
でも私には　そんな力は　ありはしないの

"聖少女"　ただの娘に
なりたいよ　仮面を外し
弟と　自由になって
あの空の　向こう側まで
行ってみたいわ　なんて願うの
でも私には　誰の願いも　叶えられない