冬が嗤(わら)い
扉の開いた鳥籠の掌(なか)
私は俯いていた

春が咲(わら)い
扉の開いた教会の上
私は羽搏いていた
何も知らない私が 空を識ったのは
貴方が唄ってくれたから

静寂を慄(おそ)れるくせに
賑やかなのは苦手
闇を惶(おそ)れるくせに
眩しいのは嫌イ
ねぇ ねェ ネェ あぁ
見下ろす街で街路樹が笑う
貴方の優しさで街路樹が笑う


夏が哂(わら)い
滴が叫ぶ夕立の下
私は気付いていた
何も知らない貴方の 心を揺らすのは
私の羽搏きじゃないこと

秋が咥(わら)い
滴が唄う噴水の中
私は輝いていた
何も知らない私が 空に逢えたのは
貴方が祈ってくれたから

恋心を慄れるくせに
冷やかなのは苦手
愛を惶れるくせに
寂しいのは嫌イ
ねぇ ねェ ネェ あぁ
見下ろす街で街路樹が眠る
貴方の愛しさで街路樹が眠る


怖レテイタ季節ガ廻リ来テ
教会に響く鐘(ベル)の音が
境界を越えて雪を降らせ
教戒を超えた罪を咎め
胸懐を晒す私を嗤(わら)った


夕暮を慄れるくせに
華やかなのは苦手
夜を惶れるくせに
明るいのは嫌イ
鳥籠を慄れるくせに
広やかなのは苦手
鐘(ベル)を惶れるくせに
ねぇ唄いたかったのに
ねぇ ねェ ネェ あぁ
一緒に唄いたかったのに
見果てぬ夢で私が笑う
貴方の優しさで私が笑う

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

風に恋した鳥の唄(うた)

《花鳥風月・四部作》

美しいものとは?
と問われたとき
『出逢い』は
その一つだと
答えるのかもしれない

だとすると
新たな出逢いを連れて来る
『別れ』にも
美しさが
秘められているかもしれない

花鳥風月は
それぞれにそれぞれの美しさを
自らの知らぬ内に輝かせ
人々の心に入り込んでいく

時には『出逢い』を連れて
時には『別れ』を連れて

閲覧数:122

投稿日:2012/10/07 21:49:41

文字数:570文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました