俺は学校の帰り道、廃れたシャッター街を歩いていた。

夏の割には少し肌寒い。

流行性の風邪と花粉対策として、マスクもしている。

夏は夏らしく暑くなってほしいものだ。

暑すぎるのも嫌だけど。


路地を3つ過ぎたところで俺は足を止めた。

ぼろい赤い看板が目立つ、八百屋・吉有(きちゅう)。

いや、ここに用があるわけではない。

なぜか、そう、あたかも導かれたように俺は足を止めただけだ。

俺の方が理由を知りたいものだ。

Why is it?


「ニィゥ」

と鳴いたのは一匹の白い猫。

路地の中から俺の目をピンポイントで見てくる。

まるで睨まれているようだ。

だが毛は逆立っていない。

怒っているわけではなさそうだ。

「ナゥ」

猫は突然後ろを向き、路地の奥へと歩き出した。


俺はついていく意志もなく、無視する理由もなく、ただ見ていた。

その猫がもういちど振り返れば、俺はついていこう。


そいつの透きとおったやや薄い黄色い瞳。

俺の目がそれをもういちど視認することは、無かった――。




アレがなんだったのか、

いわゆる白昼夢という奴だったのか、

それともただ単に意識のしすぎで、あいつはどこにでもいるような白猫だったのか。

あのときから10年過ぎた今でも、思いだす、晩夏の不思議な話。

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夢現物語 一. 俺と猫

「ゆめうつつものがたり」と読みます。

ちょいほのぼの系短編を書いていこうと思います。



こういう短編小説を大勢でつくって一纏めにしたら良いと思うんだ。

本になるよね。短編小説集みたいなさ。

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投稿日:2009/09/16 01:33:21

文字数:566文字

カテゴリ:小説

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