昔々、まだ魔法使いが精霊達とお話が出来た頃の物語。

 ブリオッシュ大陸に、ブリオッシュ山という火山がありました。その大きな火山からは、大量の火山灰が降りそそぎ、大陸中に影響を与えていた。ブリオッシュ山から離れた処に住んでいる長(おさ)や家臣達も降り注ぐ火山灰に困り果てていました。火山灰は、農作物に多大な損害を与えていたのでした。

 このブリオッシュ大陸では、風が吹きませんでした。みんなは、この地の特異な地形によるものだろうと思っていまた。

 そんなある日、ジプシーが長の村にやって来ました。そのジプシーの老婆が、長を訪ねて来ました。老婆は、自分を『予言者』と言っていました。

 長には、双子の子供がいました。姉は、頭も良く活発で行動的だったそうです。弟は、優しくどんな嫌な事でも、頼まれれば嫌と言えない性格でした。二人はとても仲が良かったのです。二人の顔はとてもよく似ていて、二人とも黄色い髪をしていました。

 老婆は、長に「火山を静める方法がある。」と言って、黄色い縁の合わせ鏡を見せました。長は、「火山が止まるならどんなお礼もする。」と言って、その方法を教えてもらうのでした。

 老婆は、「この鏡には、二つの魔法が掛かっている。」と言って、弟と合わせ鏡の片方を、隣の部屋に連れて行くのでした。しばらくして戻った老婆は、残った合わせ鏡の前に姉を立たせます。老婆は、姉に「鏡に何が映っている?」と、聞くと「弟がいる。」と、答えたのでした。驚いた長とその家臣達は、その鏡を覗き込むのですが、見えるのは姉の姿でした。老婆は、また姉に話しかけます。「弟になにか話してごらん。」姉が、「今日のおやつなんだか教えて?」と聞くと、なにやら嬉しそうにしていました。長が姉に、「なんと聞こえたの?」と聞くと、「今日のおやつは、ブリオッシュだって。」と嬉しそうに答えるのでした。老婆は、隣の部屋に行き、弟と合わせ鏡を連れてきました。弟がなにやら持っていました。持っていたのは、今日のおやつのブリオッシュでした。二人は、美味しそうに食べていました。

 老婆は、二人がおやつを食べている間、庭をみていました。老婆が見ていたのは、この地に昔からある大きな樫の木でした。老婆は、二人を呼ぶと二人の背中に、合わせ鏡を背負わせました。「さあ、あの大きな木とお話をしてきてごらん。」そう言って、二人を大きな樫の木の下に連れて行きました。二人は最初意味が判らないようでキョトンとしていました。突然、雷でも落ちたように驚いた二人は、顔を見合わせました。それから、二人と樫の木は、なにやらお話ししている様子でした。

 長は、「この不思議な合わせ鏡は、何に使うのか?」と、老婆にききました。そうすると、老婆は、不思議な物語を語り始めるのでした。

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北風と合わせ鏡(その1)

 mothy_悪ノPさん「悪ノ」シリーズを元に二次創作小説「悪の王女」を書いています。
その第一話、『当時の長(おさ)は、娘を生贄に噴火を止めたと言われている。』この部分の物語です。

閲覧数:472

投稿日:2008/07/09 18:16:18

文字数:1,164文字

カテゴリ:その他

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  • ネムのね~む♪

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    はじめまして!

    ファンタジーな物語、大好きです(≧▽≦)
    ゆっくり読ませて頂きますね~♪

    wktkですw

    2008/11/19 06:00:44

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