メトリオバケと鬼ごっこ と検索して前話を読むこと推奨です。
なお、今回の話は少々難しいかもしれませんのでご注意を。
「・・・誰?」
振り向けば、そこそこ可愛いし、そこそこおっぱいでっかい女性がいた。
「なんだ、お前も俺と同じく女性にされているのか」
「・・・まさか、ミサキ?」
「学校ではミサキ先輩って呼べと、何度言えばわかるんだ」
「いや、ここ学校じゃねえし・・・」
「あー、そうか・・・」
意味がわからない人にざっくり説明すると、この人はミサキ。オレや大青より2つ年上で、実はオレの家のご近所さん。昔はよく遊んでいたな~。学校に入ってからは、あまり会ってなかったな。お互い忙しくて。
身体的特徴といえばその頭。ツルツルのハゲ。しかもホラーチックなピアスや指輪してるし、目つき怖いし、もうオーラというか存在そのものが怖いし、生徒会長になったのって絶対脅し使っている気がする・・・。世紀末に帰れともたまに思う。
「ミサキ・・・」
「あ?」
「髪の毛、生えた?」
『同じく女性にされている』と、ミサキはさっき言った。その髪は、綺麗な赤茶色のロングヘアになっている。しかもおっぱい結構でっかい。
「生えたとか言うな」
「いや、ハゲじゃん」
「ハゲじゃねえよ。わざと剃ってんだよ。そういうオシャレが分かんねえのはまだまだ子供だな」
やれやれ、と言わんばかりの態度にちょっとカチンときた。疲れがたまっているのもあるだろうけど・・・。
オレは「ハーゲ」と、子供みたいな事を言った。ミサキはフッと笑ってこう言った。
「うっせえよ、周真速(シューマッハ)のくせに」
「言うな!オレのキラキラとした本名を言うな!」
本名のことだけは触れて欲しくない。なんだか本格的にブチギレてきた。
「そっちこそなんだよその名前!美咲って!美しく咲くって!頭には髪の毛一本も咲いてないじゃねえか!!」
「わざと剃ってるって言ってるだろ」
「うっせえ!バーカバーカハーゲハーゲ!!」
その後、数時間にわたってろくでもない喧嘩は続いた。
そして気づいた。確実に大青死んでいる気がする、と。
「・・・大青のこと何だけどさ」
「あ?」
「もう助けるのやめて帰らない?」
正直帰りたい。と言うか、カバンを取りに戻りたい。
「どうやって帰るんだよ」
「それは・・・わからないけど・・・」
ミサキはまたもや、やれやれ的な態度だ。
「そもそもさ、お前は大青を殺したいのか?助けたいのか?」
「そりゃ・・・助けたいけどさ」
「なら助ければいいじゃねえか。ダメ元で」
「・・・」
「それ咲夜の特殊能力ってやつで、延命されてるかもしれねえぞ」
「あ!そうか!」
そう言えば、ここは特殊世界とか言ってた。それなら、まだ可能性があるかもしれない。
そう思うと、なんだかやる気が出てきた。
「決意は新たにってことで行くか」
と、ミサキは言ったけど・・・。
「どこに?」
「・・・」
「・・・」
オレとミサキのあいだに、少しの沈黙が流れた。
「あ」
次に声を出したのは、ミサキだった。
「ん?」
「これ」
ミサキが差し出したのは、目だった。
「おお・・・揃った、揃った!2つとも揃った!よっしゃ!」
思わずしもガッツポーズになる。けれど、疑問は残る。
「嬉しいのは嬉しいんだけど・・・それ、どこで手に入れたんだよ」
「拾ったんだよ。咲夜が落としていったのを」
「結構おっちょこちょいなんだな、あの幼女。あ、あともうひとつ質問が・・・」
ちょうどいいタイミングで、ゴゴゴゴゴと地響きがする。
「なんだこれ!?」
「ワープってやつじゃないのか?」
「それならどうか、次はもっと癒し系か学校でありますように!」
両手を合わせて祈ってみる。
そして、揺れが収まりワープした先は・・・。
「・・・なんだここ」
「え?」
最初に喋ったのは、驚いている感じのミサキで、次にオレが喋った。
「・・・ごめん、オレには見えない」
「・・・ああ、そうか。シュウマはそうだったよな」
「ごめん・・・どう・・・なってる?」
ミサキは、オレの頭をガシガシ撫でた。
「何すんだよ!」
「目の事で暗くなるな。明るいお前が一番だ」
「っ!」
その言葉に、ちょっとウルっときた。疲れもあるのだろうけど。
素直にありがとうとは言いたくなかった。照れくさかった。だから。
「ハーゲ」と悪態ついたけど、ミサキはすべてわかっているみたいだ。なんだか悔しい。
「さて、このエリアだが、周りが先が尖っている岩だらけで進めない。岩に囲まれ、閉じ込められている」
「ミサキにはそう見えているんだ」
「お前は?」
「・・・見えるよ、道が」
「・・・じゃあ、付いて行くよ」
「任せとけ!」
ミサキの手を取り、先を歩く。
そして言い聞かせる。ミサキは今可愛い女の子なんだと。
「・・・聞いていいか?ああ、進んだままで、な」
進み始めたとほぼ同時に、ミサキにそう聞かれた。オレは言われるがまま、進みながら答える。
「いいよ、何?」
「お前の目、今どうなってんだ?前は動かなかっただろ?」
「あー・・・」
そう言えばオレの目のことは、一部の人しか知らないんだっけ。そして、ミサキが知っているのは半分くらい・・・かな。
少し頭を掻きながらも、オレはミサキの質問に答えた。
「昔、事故でオレが両目を失ったのは知ってるよな?と言うか、覚えてる?」
「覚えてるさ」
「そっか・・・まぁそのあと、普通の義眼付けて生活してたけど、成長していくうちに周りの環境も変わって、それが原因でいじめられた訳よ」
「知ってる、で、大青が助けてくれたんだろ」
「あ、うん」
そっか、そこまでは知ってるんだ。
あれ?そもそもミサキと話さなくなったのは・・・いつだっけ?ミサキが2才上だから、先にミサキが中学に入ったから?それとも、オレが一人暮らしを始めたから?
「それで?」
「うへぇ?!あ、えっと・・・」
考え事をしる時に急に話しかけられたから、また変な声が出た。
「嫌なら無理に答えなくていい」
「ちょっと考え事してただけだよ」
「何を?」
「・・・昔の事」
「そっか・・・で、続きは?」
「あ、続き・・・ね」
昔の思い出、あの頃をの思い出を辿る。
と言うかここ道長いな。
「ある時、音声メールが届いたんだ。『我社の新製品のモニターになってください』、的なメールが」
「モニター?」
「義眼だよ。最新の」
「へぇ、どんなの?」
「んー、よくわからないけど電子的で、見た目は本物の眼球そっくり。視神経は電子ケーブルで、脳に直結してて、本物の眼球とほぼ同じ映像を見られるんだ。その代わり、ものすごく頭痛いけど」
だからオレは早く帰って、頭痛薬を取りに行きたいんだ。一時帰宅とかないものか・・・。
「面白いな」
「うわ!」
後ろにいたミサキが、急にオレの目の前に立ちはだかる。
「急に目の前に立つな!」
オレの目・・・義眼を見ているようだ。
「おお、本当に動いてるな」
「触るなよ、痛覚もあるんだから」
「それは触れと言うフリか?」
「フリじゃねえ!」
ジロジロ見つめてくるミサキ、相変わらずハイエナのような目をしている。そこは女になっても変わらないのな。
「でもその義眼、痛いなら悪い事だらけじゃねえの?」
「いや、それがそうでもないよ。なにせ最新だからな」
ここでドヤ顔をしたが、ミサキは安定の無視。
なんだか気恥ずかしかったので、コホンと一つ咳払い。
「まずその1、動体視力がすごいというか処理落ちがすごいというか・・・まあフラッシュ暗算系は得意になったな。残像が残る感じで」
ミサキは無言で、ジッとこちらの話を聞いているようだけど、なんか返事してくれ。
「えっと、その2、幻覚に負けない設定になってる。まあ薬!ダメ絶対!的な事かと思う」
「だからこの岩まみれの場所に、道が見えたのか」
「そうそう。で、次が最後なんだけど、あと一週間ほどかな?モニターが終わったて、気に入ったらこの義眼もらえるんだ。お値段なんと数十万が無料!」
「それはいいな」
お、食いついた?
「でも、頭痛薬は自腹だけども・・・」
「プラマイゼロと言うかマイナスな気がする」
「それでもオレは数十万が無料になるなら、多少の出費と痛みなんてなんのその!」
「なるほど、大体事情は把握した」
「そういやミサキも目」
「それよりここ、ループしてないか?」
「え?」
質問しようとしたけど、ミサキの言葉にかき消されてしまった。
けれどもこの道がループしている、それは。
「オレも考えて」
『呼ばれてなくてもジャジャジャジャーン!+*゜.ヾ(*´∀`)ノ☆*+.』
「ウヴォァ!」
『気持ち悪!Σ(・ω・ノ)ノ』
「き、気持ち悪いって言うな!」
そりゃ自分でも気持ち悪い奇声だったのはわかっているけども、いざはっきり言われると結構傷つくものである・・・まあそれよりも。
「なぁ、大青は・・・どうなったんだよ!」
『わしと2人でまったり楽しくお話しておったのじゃ(*´∀`*)』
オレが頑張っているのに、幼女で2人と話をしている大青。想像したら、なんかイラっときた。
「それより、目、揃ったぞ」と、言ったのはミサキだ。それに続いて、オレも喋る・・・。
「だから早く」
『ならばゲーム終了じゃ!(`・ω・´)元の世界へ返すぞい(*´∀`*)』
幼女の言葉に消されて、最後まで喋れなかった。
そして、ワープが始まる。キラキラと輝く光の粒に囲まれて、綺麗だった。
一時のファンタジックな世界に、声を発することも忘れて見とれていたら、もう薄れてあまり見えなくなったサクヤの声が、頭の中に直接響いた。
『助けられなかったら、メンゴ☆(*´人`*)』
「?」
その言葉の意味は、後で知ることとなった。
メトリオバケと鬼ごっこ その3 偽
記憶がだいぶすっ飛んでこれの存在を忘れていましたすみません。
次回、最終回です
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