2-3.

「そんなことがあったんだ……」
 午後の図書館。明日にせまった学園祭の準備を少しだけ抜け出して、私は愛に昨日の夜のことを話した。
 見知らぬ三人組に襲われかけたところまで話すと、愛は隣りに座る私に手を伸ばして、抱き締めてくれた。私の頭を抱えるようにして、いたわるように、とても優しく。
「つらかったわね」
「私は……大丈夫よ」
 愛は無言で、頭をこつんとぶつけてくる。それは少し強くて、ちょっとだけ痛かった。
「……そうやってやせ我慢するの、未来の悪いクセだよ」
「……」
「誰かに頼ることも覚えないと、つらくてきつくなるだけ。たまにはわがままだって言わなきゃ」
「……ごめんなさい」
 ふふ、と愛は笑う。
「未来の悪いクセその二だね。謝らなくていいトコで謝るんだから」
「……ごめんなさい」
 そう口をついて出た言葉に、愛の笑みが大きくなる。
「あはは。ほら、未来はまた謝る」
「うう……」
「そんなに申し訳ないんなら、そこから先の話をたっぷりしてもらいましょうか?」
 身体を離すと、ものすごく期待したまなざしで愛が私を見る。なんとなく、嫌な予感がした。
「話の流れからして、ちょうどそこを通りかかった白馬の王子様があたしの未来を助けてくれたってことなんでしょ?」
「そ、それは……」
 愛の勢いに、私はたじろぐ。いや、その、確かにだいたいの流れはそうなんだけれど、その白馬の王子様って、自分で言ってて恥ずかしくないのかな。それに「あたしの未来」ってどういうことよ。
「ねーねー、黙ってないで早く教えてよ。どんな人? 年上? 名前は? カッコよかった?」
「あのね、メグ、落ち着いて」
 そんな言葉が、今の愛に届くはずもなかった。自分の顔が赤くなっていくのがわかる。愛が質問する度に、あの人の姿の一つ一つを思い出して、余計に恥ずかしくなる。
 この質問攻めをはぐらかすことなんて、私にはできないんじゃないかと思った。
 事実、根負けした私は、愛に洗いざらい打ち明けてしまった。
 名前も連絡先も聞いていなかったことも、全て。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

ロミオとシンデレラ 7  ※2次創作

第七話。


全然話が進んでいないのに、もう七話目。
しかも、ロミオに至ってはまだ名前すら出ていない。
・・・・・・はい、すべて私の責任です。ごめんなさい。

閲覧数:362

投稿日:2013/12/07 12:47:46

文字数:875文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました