幼いころ、ひどく夢見の悪かった翌朝
本当に体内に赤い血が流れているのか
一晩にしてその普遍性が揺らいでしまうことがあった
そんな時は温かいミルクでも携えて
毛布にくるまっていればいいのだと
もう少し大きくなってから知った

花を紡いで創った地獄に黒い鐘が鳴るらしい
茫漠とした海原では渡る風を孕む白い帆が
優しい掌に抱かれて今夜も眠るらしい
あるいは森閑に宿る精霊の吐息だけ
集めて作られた香水は魔力を秘めるだとか

プラスチックみたいな陶酔を瞼にそっと隠す
まだ知らぬ世界の秘密を夢に見るだろうか
月を抱いてベッドに入れば
あどけなさを失った僕らに夜が掌をかざす
今夜 君の傍で眠らせて

幼いころ、砂場に紛れたガラスの破片は
一等美しく感じられ、ポケットに隠し持っては
叱られたものだった
今では振り向きもしないガラクタめいた数々が
この上ない宝物だった時期があったのだと
懐かしむことさえ凡夫めいてしたくない

神の息吹は黎明の水平線に宿り
紅い海の最後の一雫と共に寝つくらしい
分水嶺では双子の青い鳥が目を光らせているらしい
あるいは白き艶けく衣を身にまとい
黒い森を彷徨うのは数千年眠らない死神だとか

君は知っているだろうか
もっともらしく囁かれている迷信よりも
ずっと眩い真価があることを

ビニールみたいな薄っぺらい感傷を飲み下す
まだ見ぬ宇宙の神秘を夢に見るだろうか
海を抱いてベッドに入れば
幼気さを失った僕らに闇が吐息を吹きつける
今夜 君の傍で眠らせて

ライセンス

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夜に抱かれて見る夢は

夢についての歌です。

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投稿日:2021/04/08 19:54:08

文字数:638文字

カテゴリ:歌詞

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