昨日の夜突然来たメール。差出人は七海志揮、拓十君の叔父さんで…今は追われている筈の人。

『非常ベルが鳴ったらショックを受けたフリをして倉式緋織を迎えに来て、場所は高等部2階視聴覚準備室』

皆を騙すなんて性に合わないし、何よりこの人を信用して良いのか解らない。だけど…この人はひおを殺さない…ううん、きっと…殺せない。だから…!

「はい、しふぉんちゃん確保~っと。」
「ひゃっ?!あ、あれ…?雉鳴…さん?」
「お、解ってくれるんだ、可~愛いねぇ。」

いきなり出て来た雉鳴さんに腕を捕まえられていた。顔は笑ってるけど凄い力で全然振り解けない。どうしよう、ひおを迎えに行かなきゃいけないのに…。

「お姫ちゃん何処?旧校舎には居ないでしょ?」
「なっ…何で知って…?!」
「緋織は無事なのか?!」
「えっ?!えっ?!あの…知ってて聞いたんじゃ…?」
「鎌掛けただけ、で?何処?」

唖然としつつメールの事を話すと、真壁さんが弾丸みたいにすっ飛んで行ってしまった。

「まぁ彼に人は殺せないだろうね、特にお姫ちゃんの事は。」
「雉鳴さんは親しいんですか?」
「元彼。」
「そうですか。」
「いや、ツッコむ所だから!」
「えっ?!違うんですか?!」

プチコントみたいな会話をしていて私ははたと我に返った。

「あっ!旧校舎!あの火災警報大丈夫なんですか?!本当だったら直ぐ避難しないと!」
「火事はガセ、彼の事は響さんが止めるから俺等はショーを楽しむべき。戻るよ。」

ううう…1人で納得されても私は何がなんだか全然解らない…一件落着なの?本当に?釈然としないまま歩いていると雉鳴さんの携帯が鳴った。

「もしもし…え?何、よく聞こえな…。」

雉鳴さんが返事をした瞬間だった。外でまぶしい光が見えたと思うとガラスが震える程大きな音が鳴った。反射的に目を瞑って耳を覆った。と、辺りの電気が明らかにバチッと変な音を立てて消えてしまった。曇っていたせいか薄暗い。

「ば…爆発…?!」
「多分落雷。と言うかこれはちょっとまずいな…。」
「嘘ぉ…。」


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いちごいちえとひめしあい-136.落雷-

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投稿日:2012/08/25 04:19:09

文字数:875文字

カテゴリ:小説

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