街灯のない郊外の道を歩いていると、ふと空を見上げた瞬間、星たちがまるで私の思考を映すスクリーンのように瞬いた。その光景に導かれるように、私は道端の草むらで小さな猫と出会った。黒い毛並みのその猫は、まるで夜空の中に迷い込んだ彗星のように、静かにこちらを見つめている。
私は猫とともに歩きながら、音楽や詩、物語の断片を思い浮かべた。星の光が猫の瞳に反射し、夜の静寂の中で言葉が踊り始める。猫は私の手元のノートに視線を投げかけ、まるで私のアイデアを承認するかのように一度小さく鳴いた。その瞬間、文字と音、光が交錯して、夜空自体が物語の舞台に変わったような気がした。
普段、私たちは言葉を使って何かを表現しようと努力するけれど、今目の前にある景色と存在は、無意識のうちに創造のインスピレーションを与えてくれる。猫の存在は、文章の行間に隠された感情や、星の光の微妙な色合いまで伝えてくれる。私はその瞬間、文字だけではなく感覚そのものを作品に取り込む方法を学んだ気がした。
夜空の星が消えゆく前に、私は猫とともに小道を進み、思いつくままにフレーズを走らせた。光と影、静寂と鼓動、猫の小さな足音と風のささやきが、私の物語のリズムを作る。完成形を求めず、流れに身を任せることで、言葉は自然と夜空に描かれる軌跡のように輝いた。
最終的に、ノートを閉じる頃には、猫はどこかへ去っていた。しかしその残像は、私の創作の中で永遠に生き続ける。夜空に浮かぶ星々と猫が交わした瞬間の光景は、言葉に変換され、音楽に変換され、物語として誰かの心に届くだろう。創作とは、目に見えないものを見つけ出し、触れられないものに触れる行為なのだと、私は改めて感じた夜だった。
【福本潤・元医師】夜空のシナリオを書き換える猫
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想