どうせ君も刃を向ける。
 そう、分かっていたんだ。

 
 いつもの道を歩くだけで、銃やナイフを向けられる日々。
 耳を塞いだって流れてくる罵声からは、今日も逃げられない。
 こんな加害者だらけの世の中で、僕は唯一の被害者なんだ。
 助けてくれる人なんて居ない。

 散々頑張った結果がこれって、嘲笑わないで。
 言葉を突き刺し、自尊心を抉る。
 さめざめ泣いたって、指を指され笑われるだけ。
 言葉の弾丸は、いくつもの穴を開ける。

「絶望的な悲劇がお似合いだね」

 どうしてか、今日も嫌悪の槍を投げられる。

 それが救いと君が言うから、それはきっとそうなんだ。
 目を見開いて向き合えば、どうしようもない嫌悪の視線。
 皆、凶器を構えるこんな街で、君は唯一の理解者なんだ。
 助けてくれるって思ってた。

 散々叫んだ結果がこれって、見下さないで。
 刃を突き刺し、理性を切り裂く。
 嫌々受け入れることだって、僕には出来ない。
 救いの言葉は、そっぽを向いた。

「希望的観測は済んだのかい?」

 信じてた世界は、存外に脆いモノだった。

 空想被害者は誰なんだろう。
 空想加害者は誰なんだろう。
 ナイフも銃も、本当はどこにもない。
 耳を塞がなくても、声は聞こえない。
 空想理解者は誰なんだろう。
 空想救世主は誰なんだろう。
 
 見つめても世界は変わらない。
 
 凶器を構えていたのは――
 狂気を抱えていたのは――

 散々悩んだ結果がこれって、誰か笑って欲しい。
 刃は捨てられず、喉を貫く。
 さめざめ泣いたって、何も変わってはくれない。
 空想被害者は、後には退けない。

「本当は知ってたんだろ?」
「全部、全部」
「空想だって」

 散々刺して、散々泣いて、世界を見つめる。
 弾丸が込められていない拳銃を、空虚な街で、撃ち続ける。
 
「あぁ、割と簡単に、気付けるもんなんだね」
「でも、もう遅いかな」

 空想被害者は、僕なんだ。

 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

空想被害者

 被害妄想は激しい方です。

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閲覧数:70

投稿日:2013/12/07 22:12:26

文字数:842文字

カテゴリ:歌詞

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