*―――――――――――――*小説【ココロ・キセキ】*―――――――――――――*

              “ コ コ ロ ”

              それは、素晴らしいもの

            つかみ取れない かたちの無いもの

          それでも求めてしまう とても不思議なもの

           始まりを知らない“キセキ”そのもの―――――――







30XX年、X月X日。

ある晴れた日のことだった。

“奇跡”は、とある研究室の中で生まれた。


“奇跡”を作ったのは、ある孤独な科学者―――鏡音レン。この世で唯一といえる、天才科学者だ。

なぜ“ソレ”を作ったのか。それは定かではない。

しかし、天才科学者ゆえの孤独、研究室の中でひっそりと“ソレ”作った孤独。

それがヒントになるだろう。


レンは、その目の前の“奇跡”つまり、“アンドロイド”を見て、つぶやいた。

「出来栄えを言うなら、奇跡だな。」

そしてそのアンドロイド全体を、深々と眺める。

黄色い、ショートカットで先端が少し跳ねた髪。青緑色の瞳。前髪にとめた4本のピン。

そして、頭のてっぺんにある白いリボン。

本当に人間そっくりだ。

そしてレンは自分の机の上に置いてある写真立ての1つを見た。

その写真は、少女の写真だった。写真の中で楽しそうに微笑む少女。

「リン―――――」

レンは、そう呟いた。

“リン”とは彼の双子の兄弟だ。

しかし、10年前に不治の病で死んでしまった。

そしてそのアンドロイドは、リンにそっくりだった。

ただ、リンとアンドロイドの違うところ。ソレは―――

ヘッドホンをしていること。それと、
 
          目 に 輝 き が 無 い こ と 。

そう、“彼女”にはひとつだけ足りない、出来ないものがある。

それは、“ココロ”というプログラム。

彼女には、“感情”が無いのだ。

そして、ロボットは動き出した。

「私ノ、名前ハ何デスカ。。。?」

レンはしばらく考えた後、こう言った。

「君の名前はリン。鏡音リンだよ。」












それから、数年の月日が経った。

アンドロイド、リンは相変わらずココロを知らない。

レンは日ごろ研究を続けているが、出来ないのだ。

そして、レンはいつも、リンに歌を歌わせていた。

死んでしまったリンも、よくレンのために歌ってくれていたからだった。

アンドロイド、リンは死んでしまったリンに声もそっくりだった。

レンがそう設計したからだった。

「博士、分カラナイ所ガ有ルノデスガ。。。」

歌っていたリンが歌をやめ、レンに尋ねる。

「何?」

優しい声でレンが聞くと、リンは歌の楽譜のあるところを指差した。

“心をこめて”

リンには、やはり心が分からないのだった。

「あぁ、それは、じきじきに分かるさ。もうすぐね。」

とレンが微笑んだ。

・・・と同時に

「――――ウッ。。。」

レンは突然、手を口の前に持ってきて、咳き込んだ。

「ゴホッゴホッゴホッ。。。」

咳がおさまり、口元を押さえていた手を離す。

するとそこには

               大量の血がついていた。

「博士?ドウシタノデスカ?」

何も分からぬまま、リンは首をかしげる。

レンは何事も無かったように微笑んで

「・・・・なんでもないよ。」

といい、手洗い場に向かった。






「ゴホッゴホッ。。」

ビチャビチャッ・・・

レンが席をするごとに、嫌な液体の落下音が響いた。

リンの不治の病、それが、レンにも感染していたのだった。

「。。。。僕の命は、無限じゃないんだ。。。」

そう、レンは呟いた。



せめて死ぬ前に、彼女に教えてあげたい――――

人の喜び、そして悲しみ。

だが出来ない。苦悩が続き、時だけが過ぎていく―――

彼の命は無限ではない。



すると、後ろからリンがやってきた。

それを見て、レンは

「その瞳の中映る僕は、君にとってどんな存在。。。?」

と、かすかに呟いた。

「博士。貴方ハ私ニトッテ、素晴ラシイ存在デス。」

リンは感情の無い声で言った。



リンは、どうやったら心を分かってくれるだろうか。

どうすれば、リンは感情を知ることができるのだろうか。

どうすれば、、、、どうして、、、?


ツー。。。

気がつけば、レンの目には涙が浮かんでいた。

「―アナタハナゼ泣クノ?」

リンが問いかける。

「それは―――、ココロを知れば分かるさ。」

レンは言った。

「ココロトハ?」

またもリンが首をかしげる。

「それは――」




レンは話した。

人の喜び。そして悲しみ。

リンの心に響くように。



「・・・私ノ理解ヲ超エテイル。。。」

リンは、いかにも分からなさそうな顔をした。

レンはふっと笑い

「仕方ないさ。君にはまだ分からない。でもじきじき分かるだろう。心が―――」

そして、レンはポケットからSDカードのようなチップを取り出す。

これが、リンの“ココロ”だ。

レンはそれをしばらく眺め、そして落胆する。




「―――…メッセージヲ… 受信シマス… 」

突然、リンが呟いた。そのまま続ける。

「…! …発信元ハ… 未来ノ…
                  …ワタシ…?! 」

「なっ。。。!」

レンは驚いた。

こんな事はあるはずがないのだ。

そして、リンは大きく息を吸い、歌い始める。

「~♪~♪~♪」

「――――ッ!?」

それは、生前のリンがよく歌っていた、子守唄だった。

「~♪~♪~♪」

やさしく、こころをこめて、透き通る声で、リンは歌い続ける。





幾百の時を越えて届いたメッセージ

それは、未来の天使、リンからの『ココロ』からの歌声だった―――――




「アリガトウ・・・ この世に私を生んでくれて

 アリガトウ・・・ 一緒に過ごせた日々を

 アリガトウ・・・ あなたが私にくれた全て

 アリガトウ・・・ 永遠に歌う」

リンの歌声はそこで止まった。




それと同時に、レンの膝はガクッと落ちた。

涙が止まらない。

そしてレンは呟いた。

「一度目の奇跡は君が生まれたこと

 二度目の奇跡は君と過ごせた時間

 三度目の奇跡は未来の君からの『マゴコロ』

 四度目はいらない。四度目はいらないよ」

それと同時に、レンはバタリと倒れた。


「ありがとう・・・」


この、メッセージを残して―――――――――――。




                            ~*END*~

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

小説【ココロ・キセキ】

初投稿ですw

鏡音レンのココロ・キセキを小説化してみました。
誤字脱字あったらすいません;

感想あったらお願いします。

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閲覧数:584

投稿日:2009/04/06 02:45:00

文字数:2,816文字

カテゴリ:小説

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  • FluffyRaccon

    FluffyRaccon

    ご意見・ご感想

    I liked the novel even tough I think Ren shouldn't be the scientific that created Rin but otherwise I really loved the history, its a little bit short but full of feelings

    2025/02/13 18:41:56

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