心臓が馬鹿に成るんだ
失敗許りの人生でしょうか
さよならを奇麗に彩る
甘い言葉から順に奪おうか
延命は続かないから
存在も何処か空虚な未来だ
息継ぎは上手くないから
私の代わりに呼吸しておいて
潜熱が酷く痛むのだ
実体も失せた甘美な無法へ
静寂は屹度、痛いから
騒がしい夜に隠れてみようか
堆(うずたか)く積んでは崩した
聲は君に届かないようだ
もう、会えない事に気付いて仕舞うから
全部、秘密の儘で終わろう
天蓋(てんがい)に揺らめく雲間で
笑う星屑が少し意地悪だね
曖昧な感情許りを数えて
どうにも苦しいわ
一人法師の儘、朝に書いた
「また死ねなかったなあ」
心臓はまだ動いていた
身体だけが大人みたいでさ
普通で良かったのに
なんて感情はどうも特別じゃなくて
偶然の連続を追って
見出した神に何度も祈った
誰(だ)が為の願事だったか
思い出せない儘、生きて仕舞うな
愚かしい音が死んだずっと前の記憶を
霞むような軋む今日が連れ出して
また裏返ったそんな聲で散って仕舞う蜃気楼
そんな夢を見て眠るから
ねぇ、空蝉だけが残って仕舞うなら
全部、染み付く前に終わろう
天籟(てんらい)の聴こえた海辺に
集く貝殻が酷く不揃いだね
叮嚀に歩いた筈の景色が
なんだか虚しいわ
息が、息が、詰まる朝も屹度
生きているなんて知らないからさ
「大丈夫」だなんて
私語(ささめごと)も掻き消す風の音
ちゃんと正しく苦しいわ
生きているみたいだ
なんか愚かしいね
疲れて仕舞わないように
少しだけ歩幅を縮めたのだ
足早に過ぎ去る時間だけが
愛(かな)しいのだ
愛しいのだ
綴る哀歌、礼賛の手、幾許の痛みを
離さないように繋いだ夜が
終わる頃にさよならだ
もう会えないね
今日迄の全部はどうも
思い出せないから
忘れた儘、秘密の儘にしておいてよね
さよならが怖く成って仕舞うから
00:00 / 02:40
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想