山には熊がいて、この村にも頻繁に出没している。
そのせいで、山はおろか村の外にもろくに出れないのだと。

「すみませんね…わざわざ来てくださったのに」
「気にしないで下さい!私も行けって言われたら、震え上がってしまうでしょうから!」
税から逃亡していたころ、農業仲間と熊を恐れていた事を思い出す。

「…面白い」

女はクスッと笑いを漏らす。
「せめて、ここの美味しい野菜でももらっていってくださいな」

同じ野菜でも環境の違いから味もまた違うだろうと、澄兵衛はほくほくする。
「ありがたくいただきます」
「ええ、どうかたくさん。熊の神様だってお気に入りの味なんですから」

あ、熊の神様

澄兵衛が聞き出そうと口を開きかけた時、女が口を開いた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

熊の神様4

閲覧数:83

投稿日:2012/01/25 17:16:43

文字数:323文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました