第二章

-森(地面:土)-

【歩く音】
アリス「はぁ……ここはいったいどこなの?」

チェシャ猫「ここは不思議の国だよ」

アリス「え?」

チェシャ猫「こっち。あっち。こっちかな。どっちかな?」
<楽しそうな声>

アリス「……誰、なの?」

チェシャ猫「僕? 僕はチェシャ猫。よろしく、ね」
『ね、という言葉と同時に木からチェシャ猫が下りる』
【着地音】

アリス「何!?」

チェシャ猫「君は?」

<数秒 間を空ける>

チェシャ猫「人に名前を聞くだけ聞いてあとはだんまり? それは失礼なんじゃないかなぁ」

アリス「あ……えっと、私はあいり。よ、よろしくね、チェシャ猫?」

チェシャ猫「ふーん……んん?」

【一歩下がる音(アリスとチェシャ猫二回分)】

チェシャ猫「は、いやいやいや。嘘でしょ? まさか、そんなわけ。でも、水色の」

アリス「チェシャ猫?」

チェシャ猫「聞いてないよそんなこと。ああ! 僕は面倒事は嫌いだっていうのに」
<最後の方だんだん小さく>

アリス「……そうだ、白兎を探しているの。知らない? 時計を持っている不思議な兎」

チェシャ猫「どうして?」

アリス「どうしてって、私はここまで白兎を追いかけてきたの。だから」

チェシャ猫「やめといたら」

チェシャ猫「白兎は女王の側近。女王はアリスが大嫌い。アリスが不思議の国に来ているって知られたら、殺されちゃうんじゃない?」
<けだるけに>

アリス「殺されるって、そんな」

チェシャ猫「だから大人しく帰りなよ」

アリス「じゃあどうやったら帰れるの?」

チェシャ猫「さあ? そんなこと知らないよ。帽子屋にでも聞いてみれば?」

アリス「帽子屋って誰のこと……って待って! チェシャ猫!」

チェシャ猫「うるさいなぁ……。帽子屋の屋敷はあっちだよ」

<数秒 無音>

【歩く音】
アリス「これが、帽子屋の屋敷? ……入って、いいのかな」
【鉄門を2回ノックする音・鉄門が開く音・芝生を歩く音】

-帽子屋の屋敷の庭(地面:芝生)-

帽子屋「勝手に人の家に入るとは、ずいぶんと礼儀がなっていなようだな」

アリス「あ、ごめんなさい。あなたが、帽子屋?」

帽子屋「チェシャ猫か。……ああ、そうか。ふむ」
<「チェシャ猫か。」は小声>

アリス「えっと」

帽子屋「ようこそアリス。不思議の国へ。残念ながら歓迎することはできなさそうだ」

アリス「待って、私はアリスじゃない。チェシャ猫もそう言っていたけれど、私の名前はあいり。アリスじゃない」

チェシャ猫「いーや、アリスだね。僕は間違ってなんかいないよ」
<声は遠目に(木の上から声をかけている)>

帽子屋「チェシャ猫、いつも言っているだろう。勝手に薔薇に触るんじゃない」

チェシャ猫「ごめんね。あ、じゃあ触るね。あ、落ちちゃった。ごめんね帽子屋」

帽子屋「私はそこからお前を叩き落としてもいいんだ」

チェシャ猫「いつも言ってるじゃないか。冗談だよ。ねえ、アリス?」
【着地音】

アリス「え?」

チェシャ猫「アリスは帽子屋にお願いがあって来たんでしょう?」

アリス「……白兎を探しているの。知らない?」

帽子屋「白兎は知っている」

アリス「じゃあ」

帽子屋「だがあいつが今どこにいるかは知らない」

チェシャ猫「白兎はこの国に戻ってきた。だからアリスがいるんだよ」

帽子屋「ああ、わかっている」

アリス「チェシャ猫には帰った方がいいって言われた。だから帰り道も探しているの。あなたは帰る方法を知らない?」

帽子屋「私の帰る場所はここだ。アリスの帰る場所など知らない。けど、チェシャ猫が、そうか」

チェシャ猫「ちょっと帽子屋。何考えてるのさ」

帽子屋「私のお茶会へ招待しよう、アリス」
<優しく、微笑みかける>

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

第二章/シナリオ

注意事項
・表記はあいりではなくアリス(わかりやすいように)
・誰が話しているのかわかるように「 」の前に名前を表記



何かあれば遠慮なく。

閲覧数:432

投稿日:2016/08/01 12:41:31

文字数:1,596文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 総合司令官

    総合司令官

    ご意見・ご感想

    投稿ありがとうございます。
    音の配置の話になりますが、アリスを真ん中の手前に置く。チェシャ猫は少し奥で左右に動かすと雰囲気出ると思います。
    チェシャ猫の効果音は「シュワ~」みたいな感じですかね(笑)
    一度このシーンのデモ曲を上げてみます。

    お願いなのですが、各シーンの背景を表記していただきたいです。
    森、町、室内ならばどのような所なのか、地面の材質などなど。

    2016/07/28 08:40:21

    • 綾呑

      綾呑

      確認ありがとうございます。

      音系はあんまり詳しくないのでお任せします!

      各シーンの背景了解しました!

      2016/07/28 12:05:51

  • 美翔安もか

    美翔安もか

    ご意見・ご感想

    投稿ありがとうございます!
    書き方的にはいい感じだと思います。
    ただ、個人的に演じ方の指示が『』だとちょっと見にくい感じがして…『』は台詞中でも出てくることが合ったりしますし(「」内でまた「」を使いたい場合や作品名を表すときなど)、別の記号の方がいいかなと思うのですが
    どうでしょうか?


    あと、

    【一歩下がる音(アリスとチェシャ猫二回分)】
    ⇒ここは、アリスが下がりチェシャ猫は近づく音ということでしょうか?

    アリス「帽子屋って誰のこと……って待って! チェシャ猫!」
    ⇒ここは、「待って!」の前(「……」あたり)にチェシャ猫が去りかける足音が入る感じでしょうか?


    ご確認よろしくお願いします!

    2016/07/27 22:29:15

    • 綾呑

      綾呑

      確認ありがとうございます。

      『』修正します!


      【一歩下がる音】はその解釈で合っています。
      順番を言うのならば、チェシャ猫が詰め寄り、それに反応してアリスが下がるという順です。

      「帽子屋って誰のこと……って待って!」の「……」は、チェシャ猫が消えてしまいます。姿を消すということですので、走り去りはしません。
      この場合、どのような音なのかわからないので無音としました。
      最後のチェシャ猫の声は何もないところ(天の声的な)から、ということにしてください。

      2016/07/27 23:32:30

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