≪ストラトステラ 後編≫
4
祝福の鐘に到着した時には、街は淡い黄昏に染まっていた。
ビルが、道が、車が、山が、空が、朱色に染まっていく。
空にはひときわ輝く星が一つ、浮かんでいた。
「まさかほんとうに来ることが出来るなんて――」
ステラは泣いていた。
僕はそれを見て、泣きそうになっていたのを堪えた。
そして、ステラは微かに笑い――祝福の鐘に手をかけた。
街に響き渡る鐘の音は、透き通るような音色だった。
僕は二度と忘れない――その鐘を鳴らした、瞬間を。
そして――空に輝く星は、流星のように落ちた。
次の日、彼女は眠るように息を引き取った。
5
彼女が死んでもなお、僕はステラの存在を忘れたくなかった。
それほど、僕の中でステラは大きな存在だった。
ステラの墓は、教会に建てられたらしい。それは彼女が生前から要望を出していたらしく、それが叶った形になるのだという。
ステラ――僕にとっての星。
それが彼女だった。
彼女がもしも世界を愛していたら――彼女は死ぬことは無かったのだろうか?
そんなことを、考えていた。
彼女の生きていた証を見て、悲しくなるのは確かだ。
けれど僕がここに居るのは、彼女の証を覚えていたかったからだと思う。
あなたが嫌った世界も、僕は愛していた。
あなたが嫌った世界を、僕はこれからも愛し続ける。
もし、あなたがまたこの世界にやってくるときが来たら――それまでには、この世界を愛してもらえるように。少しでも変わってくれるように。
だから、今は君が居たことを、確かめさせてくれ。
僕は前に進まないといけない。
でも、君が居たことを確かめる――それだけで僕は、君が居ない闇のなかでも、何とか笑えるはずだ、と僕は思うんだ。
だから、だからね。
さようなら、ステラ。
僕は墓前で呟いて、踵を返した。
「――サヨナラ」
背後で彼女の声が聞こえて、僕は再び踵を返した。けれど、そこには誰も居なかった。
さようなら。
もう一度僕はその言葉を言って笑顔で立ち去った。
僕は、ステラの前では、泣かない。
泣くと、ステラが心配するから。
だから僕は、そのまま、一歩前に足を進めた。
<終>
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