【竜宮の使いpart1】
ねえ、ねえ、竜宮の遣いって知ってる?
「はあ?何其れ?…あ、済みません。何ですか其れは」
私はうっかり、タメ口で話して仕舞った。
ああ、そういえばタメ口を使う何て何時以来だろう。
小学生、中学生、高校生、大学生、中学校教員と言う道を辿って来た私だけれど。
今と成っては、ほとんどタメ口何て利かない。
どうして何だろう。
だって、昔はもっと使っていたよ、タメ口。
なのによく分からないけれど、タメ口何て最近使わ無く成っていた。
沿う考えると、ワカメの国に来て、私、凄く、穏やかでリラックスした日々を送っている。
だから、きっと昔の喋り方が蘇ったんだ。
「其の魚、実在するよ、人間界に」
「えっそうなの!そりゃびっくり魂消た(たまげた)。」
まだ、タメ口が出て仕舞う。ワカメが相手と言っても、先輩なのだから、敬わ無いくては成る無い。
「あんた、今、私を敬わ無くては成ら無いとか思ってるんじゃ無いでしょうに」
彼女は、恰も(あたかも)私の心を読んだかの様な事を言った。
と言うか、妖精は魔法が使えるから魔法で心を読んだのか。
「え、駄目ですか?タメ口は」
「駄目って訳じゃ無いよ。でも、其んなに私の事を血の通って居無い人間の様に扱わ無いでよ。」
フランジェリムさんは、ワカメだから、血は本当に通って居無い。
でも、私の脳で、彼女の言いたい事(ワカメ語)を訳すと、沿ういう表現に成って仕舞う。
確かにそうだ。
昔、私が生徒だった頃、先生に親しく話し掛ける生徒が居た。
其の人の事を私は余り良く思って居無かった。
でも、本当は其の人の方が正しかったのかも知れ無い。
何故なら、先生も生徒も人間なのだ。
職業云々(うんぬん)の前に。
私が中学教員に成って、其れが良く分かった。
「其れはまあ、良いとしてさ」
フランジェリムさんが会話を切り替え様として居る。
「竜宮の遣いって言う奴ら見に行って見無い?」
「えっ、見に行くって、どう言う事ですか?」
「だから、見に行くの。あいつ等は名前の通り竜宮に居る。竜宮からワカメの国に宅急便を送っているの。」
宅急便はクロネコヤマトの登録商標だから、此の場面で使うのは実は行け無い。
「行きましょう!行きましょう。で、何処に行ったら会えるんですか?」
「えっとお城よ。ワカメの国の御城よ。」
ワカメの国には大きなお城が在る。
其の御城は灰色だ。
ヨーロッパ風で在る。
竜宮城が日本の御城なら、ワカメの国の御城は、洋風の城だ。
レンガ造りである。
ワカメの国の街はレンガ造りが多い。
田舎の方がどうなっているかは良く知ら無いけれど…。
「じゃあ、今日の仕事帰りに行こう!」
「行こう!」
ワクワクして来た。
ワカメの国 第九章 正し過ぎた人 畑広美の物語
彼女は、ワカメの国に来て一回り大きく育つ。
精神的に。
彼女を待ち受ける、得体の知れ無い魚【竜宮の使い】とは?
※小説「ワカメの国」は現在「KODANSHA BOX-AIR新人賞」に応募中。
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URL:http://blogs.yahoo.co.jp/wakamenokuni
です。
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