黄金色の朝日に、何もかもが染まっていた。
そう。ちょうど数ヶ月前の今、同じように黄金色の朝日の照らされる中、僕達は「目覚め」を見届けた。まさにデジャヴだ。
そしてまた、僕達は黄金色の朝日に照らされ、またもや、その「目覚め」とやらを見届けようとしている。
通称VOCALOID-00。機械のアダムとイブの目覚めを。
◆◇◆◇◆◇
およそ一年前、クリプトンは今までの製品開発、販売という企業としての本業に飽き、本格的なパフォーマンスの計画を考案した。それがProject VOCALOIDである。
人間と同じ容姿、感情、互換を備えたアンドロイドを、アイドル歌手として各メディアに売り込ませ、自社の技術のパフォーマンスを行うという、大規模の広告計画だ。
本社は勿論、メディア、メディカルズ、そしてホームズの支社三社が総動員でこの計画に取り組んだ。
その中で僕はアンドロイドの開発という、ある意味の最前線に駆り出され、僕は水面都の沿岸沿いに位置するとある施設に、膨大な機材とともに移動した。
本社からの要求は、一組の男女。当然、髪の色や体格、顔の細かな輪郭等の詳細なデータが送られ、それを元に、人工皮膚の培養、人工筋肉と特殊合金製骨格の製作を進めていった。
僕達の他にも、本社から訪れた科学者陣のサポートも会ったおかげで、開発は思いのほか、いや、驚くべきほどの速度で進行していった。
しかし、開発にあの空軍大佐の世刻・エウシュリー・アイルが数人の軍事科学者を連れて、なにやら開発データを物色していたのは極めて癪に障った。しかし開発の邪魔になるようなことがなかったため、とりあえず僕は彼の存在を無視しておいた。
ともかく、積極的な援護もあったおかげで約半年で人の姿が完成し、コンピューターブレインの製作にもう半年を費やした。完成した頭脳を二人の頭蓋へと納め、そして女性は紅、男性は黒という変わった色の頭髪を植毛した。
そして、あとはあの時と同じように。
黄金色の朝日に照らされながら、ミクの目覚めを見届けた、あの時のように。
僕もまた、この二人の目覚めを、助手であり後輩である、鈴木流史君と共に、見届けようとしていた。
◆◇◆◇◆◇
肌色のタイルを見下ろしていると、目の前でアラームが鳴り始めていた。
その音に、僕と鈴木君は息を吹き返したかのように目を見開き、椅子を倒すほどの勢いで立ち上がった。
「博士・・・・・・!」
「うん!」
僕と鈴木君は目の前の、二つの台座に横たわる男女の顔をのぞき込んだ。二人とも、瞳を開けている。
「やあ。おはよう。」
僕はなんの躊躇もなく、二人に呼びかけた。
目覚めたばかりの二人は、きょとんとした顔で僕の視線を見返してくる。
「初めまして。僕は、ひ・ろ・き。」
「・・・・・・ひ・・・・・・ろ・・・・・・き・・・・・・。」
僕の言葉に対して、二人の唇が、確かに動いた。
研究室のカーテンの合間から差し込む朝日が、二人の顔を明るく照らし出し、窓の先では、今、太陽が大海原から空に登ろうとしていた。
太陽がもたらすその美しい朝日も、二人の目覚めを祝福しているかのように思えてならない。
人々の一日が始まるこの時、二人もまた、目を覚ましたのだった。
そう。あの時と同じように。
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