パールの牙で喉笛を食い破られるとか
銀色の剣で心臓を差し抜かれるとか
キスの魔法で殺してとか
そんな贅沢は言わない

貴方が私の目の前に降り立つだけでいい
ただ憮然と私を見下ろして
恐ろしいほどの美貌を網膜に映させて
その美しさは視覚野を通って神経を麻痺させ
いずれ息の根を止めるから

スタンダール症候群で私を死なせてよ
貴方を見上げた私はもう動けない
漆黒の輝きが虹彩を焼き切って
幸福感が胸を占めて呼吸もできない
その瞬間いちばんの悦びを感じるから
その長いマントを燻らせて迎えに来てよ


10月31日の夜になら現れてくれる?
貴方が入れる様に窓を開けておくよ
ママとパパが心配しないようにお手紙も書いておく

誕生日でもないのに
最も美しい他殺が欲しいなんて贅沢かな
今まで良い子にしてたのはクリスマスにサンタさんを待ってたからじゃない
一生に一度の我儘だからいいでしょう

スタンダール症候群で私を死なせてよ
白濁した日常を黒い煌めきで切り裂いて
最期がドラマチックなら私誇れるから
貴方が私の人生に闇夜のインクを垂らして
最初で最後の汚点で美点を作って
その流れる様な黒髪に溺れさせてよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • オリジナルライセンス

スタンダール【曲募集】

スタンダール症候群とは
美術的・文化的価値の高い芸術作品を鑑賞した人が動悸・めまい・失神・錯乱・幻覚などの症状を呈する心因性の疾患。フランスの作家スタンダールは、1817年にフィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂を訪ね、ジョットのフレスコ画を見た際に、至福感とともに激しい動悸に見舞われ卒倒しそうになった経験を著書「イタリア紀行」に記しているが、フィレンツェを訪ねる観光客に同様の症状が多く見られることから、1979年にイタリアの心理学者が命名した。スタンダールシンドローム。
〈コトバンクより〉

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投稿日:2021/09/25 18:22:21

文字数:500文字

カテゴリ:歌詞

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