≪ゆかりさんの非日常な売店日誌 9≫


「前説が無い……ですって? これは天変地異の前触れ!」

 ゆかりさんはチェーンソーを振り回しながら言った。

 ぶいーん。←ノルマ達成

「やめろよ! なんかむずむずするからやめろよ!」

 マキが止めに入る。

「やめろよ、と言われても……。だって考えてみてよ。この状況でボケなかったらいつボケろというの? まとめ版に用意されているおまけコーナー? でもあのコーナーって今回はホワイトデースペシャルって決定しているのよね? そもそも、四巻ってホワイトデーまでに出るの?」

「ピクシブ版の宣伝をさらっとするなーっ!! あと、きっと出るから、ホワイトデーまでに!! だってもうすぐ終わるでしょたぶんこれ!」

 ……もうすっかり前説になってしまっているが、そんなことはどうだっていい。

 彼女たちがそんなことを想うのも、わけがある。

 今、彼女たちが居るのは――紛れも無い別世界だったからだ。

「神の理を破壊することは容易ではない。それはあなたも知っていることでしょう?」

「ああ、知っているよ」

 紫の髪をした少年が、誰かと話をしている。

 その姿に、見覚えがあった。

 平凡だが、どこか頼りがいのあるその少年の名前は――。

「神威……がくぽ?」

 ゆかりさんは驚きのあまり、武器であるチェーンソーを落としていた。

「これはジャックポット……万が一、億が一にあり得る世界。一人の人間が神となって、神の世界を打ち砕いた後の話。だけれど、この世界は違う。ジャックポットとはかけ離れた世界」

 ラピスは言った。

 ラピスは神威がくぽの隣に立って微笑んでいた。この世界の人間には彼女たちは感知されないらしい。

「ラピス……あなた、いったい何を望んでいるの?」

「望む? 私が何か望むとでも?」

 ラピスは笑っていた。

 彼女の話は、続く。

「この世界は幻。日常も世界も校内探検も……何もかも無かった。この世界には繋がらない。私たちの世界には繋がらない」

「だから、やり直すと言いたいの? この世界へと、世界をつなぐために!」

 ゆかりさんはチェーンソーを構える。

 ラピスは微笑む。

「そうだといったら、どうする? あなたはただの売店のおばさん。そんなもの、どうやって阻止するというの?」

 おばさん、ですって?





 ――その言葉は、ゆかりさんにとってタブーだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ゆかりさんの非日常な売店日誌 9

【生徒会長行方不明事件編・7】

もうすぐクライマックス。

閲覧数:199

投稿日:2015/03/05 00:16:55

文字数:1,028文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました