初めて学校を休んだ。
ものすごく具合が悪くて、こんなことははじめて。
布団から起き上がる力もない・・。
ご飯も食べたくない。
どうしてこうなっちゃったのか。
理由はなんとなくわかってる。
大好きなお兄ちゃんに彼女ができたって知っちゃったから。
私、こんなにショックだったんだ・・。
今ごろお兄ちゃんはその彼女さんと仲良く話したり歩いたりしてるんだろうなぁ・・。
あれ?涙がでてきちゃった・・。
はぁ・・。
リンは深いため息をつくと再び布団をかぶった。

「ただいまー」兄のヒナタが帰宅する。
「リン!大丈夫か?!治ったか?」ヒナタがお見舞いににきた。
眠っていたリンは大好きな兄の声で驚きと共に目覚める。
「お、お兄ちゃん?!おかえり・・」ど、どうしよう、可愛い服じゃなくてパジャマなんだけど・・。
「リンが欠席なんて初めてだから心配だったよ。もう体調はいいのか?」ヒナタが心配そうに聞く。
「うーん、まだちょっと良くないかな・・」
「ケーキなら食べられるか?リンの好きなの買ってきたんだけど・・?」
お、お兄ちゃんが私に・・?
「嬉しい・・、ありがとう・・」
リンが心から嬉しそうに微笑む。
「無理しなくていいからな。明日も具合悪かったら休むんだぞ?」
お兄ちゃんは昔からずっと優しい。
お兄ちゃんが私の理想の人だった。
でも私は妹だから絶対に叶わない恋なのは知ってる。
何回も好きな人を作ろうとしてお兄ちゃんを忘れようとしたけど、私にはできなかった。
だからこれは秘密の恋なの。
私の永遠の片想い。
いつかお兄ちゃんだって結婚するんだから、その時におめでとうって笑って言えるように頑張らなきゃ・・、いけない・・よね・・。
「あのさ、リン」ヒナタが突然まじめに切り出す。
「俺さ、サキさんと別れたんだ・・」
えっ・・?
「ど、どうして?デートの約束もしてたんでしょ?」
頭の中が整理できてない。
「知りたいか?」
「うん・・」リンは素直にうなずく。
「リンが元気になったら教えるよ」
まだ頭の中はゴチャゴチャ。
「暗い話題にしちゃったな、ごめん。ケーキ食べよっか!」ヒナタがフォークで一口サイズのケーキをリンに運ぶ。
「えっ?ちょっ?お兄ちゃん?!」
「あまり体動かさない方がいいと思って!」
「いや、でも・・、さすがに恥ずかしいというか・・」
「リンが元気になったらさ、久しぶりに2人で出かけないか?カラオケとか映画とかなんでもいいぞ!」
お兄ちゃんと2人だけで出かけるなんていつぶりだろう。
なんだか楽しみになってくる。
「早く元気になってお兄ちゃんとでかけたい・・。だから、その・・、いただきます・・」
恥ずかしがりながらもリンはヒナタにケーキを食べさせてもらうことにした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

好きって言えない!(1)

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投稿日:2023/05/06 17:22:44

文字数:1,141文字

カテゴリ:小説

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