オレンジの夕日と君

　宇治山さん、改めまして、この度はご応募頂きありがとうございました！　今回は他の方の作品を使わせていただくことになりましたが、せめて感想だけでも残させていただきたいと思います。
　未練引きずりエンドですか、これはまた思い切りましたねｗ
　正直に言うと、私は最初、「オレンジの夕日」がどういった意味合いで使われているのか、解釈できずにいたんですね。普通に考えたら「雨上がりの夕日」なんて九分九厘ポジティブな意味に決まってるんですから、最後に雨が上がって夕日が出ているのは、未練と悲しみのラストにはそぐわしくないのではないか、などと思って、少々混乱してしまっていました。後にして思えば、「夕日=明日への希望だろう！」などと早とちりをしたのがいけなかったのですがｗ
　それで、よく読む内に段々とその意味が分かってきて。まず「夕日」自体は、「きれいな夕日」とか「息をのませた澄んだ夕日」といった表現があるから、やっぱりポジティブな意味を持っている。一番決定的なのは「二人見たあの空みたいに／いつの日か　色褪せてしまうのですか」というCメロ。四度目に読んだときぐらいに、夕日は「君」との思い出を代表しているのだな、ということにようやく気付きましたｗ
　そうすると、見事なのが最後の方の「滲んでるオレンジの空」という部分。これって、涙が溢れてきた自分の姿を描写すると共に、「君」との思い出が着々と過去のものになっていることをも表現したダブルミーニングなんですね。少々私の脳みそがアレだったもので理解が遅れてしまったものの、どうにかそれを汲み取って「上手い！」と膝を打った場面でありました。
　後は細かいところを言えば、「息をのませた／澄んだ夕陽が／君の頭では／どんな風に／染まった景色／映ってるの」という2サビの前半部、これがまたいい。二人の思い出である澄んだ夕日に息をのみ感動しつつも、同時に、別れてしまった「君」の頭の中を感じ取ることができない現在を思い知らされて悲しい気持ちにもなる、という複雑な感情が表現されていて、グッと来ます。一つの夕日にここまで多様な意味を持たせたのは面白いなぁ、と思いながら読ませていただきました。
　それでは、また機会がありましたら、その時はよろしくお願いします！