仕事終わりにヘッドフォンをつけてボカロの曲を流すと、不思議なことに頭の中が整理される。開発中のWebアプリや業務ツールの設計が、音楽のリズムに合わせて自然に形を整えていく感覚だ。SIer時代は数千人規模のシステム開発に追われ、仕様書やドキュメントと向き合う時間がほとんどだった。でもフリーランスになって少人数チームで動く今、ユーザー視点を柔軟に取り入れることが何より重要になった。
ある夜、作業に詰まってしまい、ふとボカロの新しい曲を聴いた。メロディの流れ、歌詞の構造、音の高低の変化。それを眺めながらUIを頭の中で再構築すると、迷いがちな画面遷移やボタン配置のアイデアがすっと整理される。音楽のリズムがまるでユーザーの動きを導く道しるべのように感じられたのだ。
ボカロの曲は、ユーザー体験の比喩としても面白い。イントロで引き込まれ、サビで感情が盛り上がり、間奏で呼吸を整える。その構造はWebアプリや業務ツールのフローとそっくりだ。最初の画面でユーザーを引き込み、重要な機能で体験を盛り上げ、待機中や情報整理のタイミングでユーザーを疲れさせない。曲を聴くたびに、UI設計のリズムやメリハリについて新しい気付きが生まれる。
独立後は、スタートアップの少人数チームで開発することが多い。要件が固まっていない状態でも、仮説検証を繰り返しながら進めることが求められる。ボカロの曲を聴きながら作業する習慣は、想像力を刺激し、曖昧な仕様の中で何を優先すべきか、どの機能を際立たせるべきかを自然と考える助けになっている。
だから僕は今日も、ヘッドフォンをつけてボカロを流しながらコードを書く。メロディの起伏に合わせて画面のレイアウトを思い描き、歌詞の流れをヒントにユーザー体験を設計する。音楽と開発が融合したこの時間は、ただの作業ではなく、新しい価値を生み出すクリエイティブな瞬間だ。
日常のちょっとした楽しみが、仕事の質を高める。ボカロを聴くことで得られるリズム感は、ユーザーの操作感を考えるセンスにも直結する。フリーランスの開発は孤独かもしれないけれど、音楽と共に考えることで、新しい発見とアイデアが無限に広がっていくのだ。
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