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「はい、ホワイトデーのクッキーだよ。」
玄関のチャイムが鳴り、ドアをあけてみると、そこにはKAITOが立っていた。
KAITOはそう言ってかわいらしいピンク色のリボンと白い包装紙で丁寧にラッピングされたクッキーの箱を私の手に置いた。
そう言えば、今日はホワイトデーだったか
しかし、一つだけ言いたい、なぜ中身を先に言う。
私はプレゼントには驚いたし嬉しかったが、中身に関する好奇心は通常の3分の1くらいだ。
この1は、クッキーの種類や形はどのようなものかという期待である。
…できれば、チョコチップがいい。
まあ、そんなことはさておき…
「どうして私にくれるの?だって…」
”先月、なにもあげなかったのに”
私は、確か先月この人になにも渡さなかったはずだ。
”私は…”
うん、私は渡していないのだ。
たしか、先月にも同じように彼が来て、”はい、バレンタインのプレゼントだよ”と言って私にこれまた綺麗なピンク色のリボンに白い大きい包装紙のラッピングを受け取った。
…彼はこのラッピングが好きなのだろうか?
ちなみに私は緑色が好きなのだけれど。
その時の中身は白いマフラーだった。あと少しで冬も終わるというのに。
なんでも、バレンタインには男が好きな女に一番大切なものをプレゼントするものなんだと。
彼がくれたマフラーは彼のものと色違いだった。
「だって、あげたかったんだ。その…迷惑だったかな?」
目の前の男は平常の5倍へたれオーラを纏いこちらを子犬のような目で見てくる。
「全然。むしろ嬉しいよ、ありがとう。でも、どうして私にくれるの?」
「え?だって、ホワイトデーは男の人が好きな女の人にクッキーをあげる日でしょ。
その…/////だから、僕はどうしても君にあげたかったんだ。」
…それはバレンタインのお礼にだけれどね。
まあ先月の件でそんな気はしていたけど、いざ面と向かって言われると気恥ずかしい。
急にこのへたれ加減がまたかわいらしく見えてくるから不思議だ。
「そう…、言ってくれるのは嬉しいけど…私。」
「分かってる、急にごめんね。僕は我慢だけが取り柄だから、気長に待つよ。」
それじゃあ、と言って彼はあっさりと踵を返した。
てっきり家に上がるものかと思ったが、それはないかとすぐ気がついた。
1、2歩進んでKAITOはこちらを振り返った。
ドキリ
急に彼と目が合うものだから少し動揺してしまった。
「ミク、そのマフラー似合っているよ。気に入ってくれて良かった。」
そう言って再び踵を返し、今度こそ振り返ることなく彼の姿はフェードアウトした。
「…私、気付かなかったな。いつの間に巻いたんだろう。」
まだ肌寒いから…なのかもしれないが、私は家の中でもマフラーを巻いていたのだ。
私は自分でも気付かないうちにこのマフラーをかなり気に入っていたようだ。
”気付かないうちに私は…を……”
【小説】ホワイトマフラーデイ
コラボに投稿していた作品。
お題は「ホワイトデー」を使いました。
ミクの語りがあり得ないくらい堅い…。
プレゼントについてはノータッチで。
なんでKAITOはホワイトデーにクッキーを渡すんでしょうね。もらってないのに。
このミクはクール&デレで、本人も気付かないうちにKAITOのくれたマフラーを巻いて微笑んでいたんだと思います。
そして、来年のバレンタインにはきっとあげるんでしょう。
てか、その日までには付き合うはず。
白にしたのは、ミクは青を巻くより、白の方が似合うかなと勝手に考えた結果です。
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