――壊れていく彼女を
僕は救ってあげたかった――
僕等が14の年、お母様が亡くなって 彼女は一国の王女になった。
周りの大人は彼女に“王女らしさ”を求めた。政権も振る舞いも勉学も、今まで以上に彼女に求めた。たった14歳の僕の愛しい片割れに。
双子は、呪いだった。必要とされたのは次期王女。僕は誰からも必要とされなかった。
僕等の6歳の誕生日。彼女の誕生祭の準備中、僕だけ大臣に呼ばれた。丁度、礼儀作法の指導を抜け出し僕に遊び相手をせがんでいた彼女は、そのいつもと違う様子の大臣に気付いて、僕の腕を掴んだ。
「行かないで、レン」
「リン…」
「レンを連れて行かないで大臣。
此れは命令よ。
レンは今あたしと遊ぶんだから」
「リン様。レンを解放してください。
…レンはもう此方には戻りません」
「どうして?!嫌よ!」
「国の為です。
双子は不吉。言い伝えはリン様も御存知な筈。」
「レンは悪くない!何も悪くない!
あたしはレンと一緒にいたいの!」
「リン様。今日から貴女も
次期王女としてやらねばならないことも増え遊ぶ暇など…」
「嫌よ!関係ないわっ!
レンが傍にいなきゃ勉強なんてしない!
王女になんてならない…!」
彼女は必死に僕を守ってくれた。小さな腕で、僕の片腕を抱き締めるように掴んで、大きくて綺麗な瞳に 涙をいっぱい溜めながら、大臣を睨んでいた。
「……レン。
このままだと
リン様に不要な入れ知恵を働いた罪で
お前を処することもい問わないのだぞ?」
「!!?」
「何言ってるの?!
リンがレンと一緒にいたいの!
レンに酷いことしないで!!」
大臣の後ろに兵士が控えていたのはわかっていた。きっと僕は彼等に連れていかれて人知れず殺されるんだろう。彼女だけが、僕を思い出して泣いてくれるんだろうか。いや、彼女を泣かせるなんて嫌だ。
「リン…僕なら平気だよ。誕生祭は見に行くから。リンはもう御戻り。」
「レン…?」
彼女を不安にさせないように、僕は笑った。
「広場の装飾を手伝う約束をしたんだ。そしたらリボンが足りなくてなっちゃって。そしたらリンが… 次期王女様が此方においでになって。」
「やめてよ、レン。
あたし王女になんてならないわ…」
「御戻りください、リン様。私は此れで失礼します…
御機嫌よう」
――僕の愛しいリン――
「レン……!!」
僕は振り向かず大臣の後をついていき、彼女は僕の名前を叫びながら 何度も叫びながら 泣いていたのかもしれない。
僕はそのまま牢獄に入れられた。彼女の誕生祭も考慮して明日、準備が整い次第処刑を実行するらしい。
僕は彼女が大好きだった。今でも 此れからも ずっと笑っていて欲しい人。
逐一彼女が城を抜け出して、城の雑務に追われる僕を見つけては、無邪気な笑顔で僕を呼んで駆け寄ってくれた。そのたび僕は周りに彼女を探す兵士がいないかまた彼女が大臣に怒られないか不安になるけれど、それ以上に彼女と一緒にいれるほんのわずかな時間が幸せだった。
next…
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BPM=172
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まふまふ
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