街の目立たない路地…血の匂いがする。
そしてここには例の致死量の血痕と、一人の少年―――。
自らの行いに恐怖を憶え、ここで身体を小さく丸め震えている。
「おやぁ?これはこれは、ハヤト君じゃないですかぁ」
着崩した喪服にシルクハット…
仲介者(ミディエイタ―)クロスティア・ローゼンクロイツ、
オレと悪魔の仲介者であり、己が娯楽の為にオレにあるルール違反をかせた者だ。
≪生贄≫
1、人命を奪えば自動的に生贄が行われる。
2、契約者(コントラクター)の命を奪えば、
その者が与えてきた生贄全ては自らが捧げた生贄となる。
3、契約者相手の場合、互いの承諾のうえでなければ能力の発動はできない。
このルールにどんな方法を使ったのか、オレの場合だけは異なる部分がある。
通常であれば片方が拒否すれば能力は発動されないが…
そのルールがない…オレには拒否権がないのだ。
だが…拒否する気はない。
悪魔と契約したような愚か者は、全てオレが食い潰す。
一般人を巻き込み殺すようなニンゲンは…――。
「さぁ、目の前にいるのは契約者です。彼の場合は素敵ですよぉ♪
食らうのです!さぁ!己れのポイントを稼ぐために!」
クロスティアは両手を大きく、強く広げながら言った。
「生贄…願いを…願いの、ために・・・。」
少年はそう呟くと重そうに頭を上げ、
「フィールド展開ぃぃ!」
叫んだ。怯えた声で。
次の瞬間。路地のコンクリートの間から生えた雑草達がざわめき、
辺りに微風が立ち込め…そしてさらに次の瞬間、空間の歪みを感じた。
そして少年はもう一度、今度は落ち着き払って唱えた。
「我が声に応え…その使いを召喚せよ、バルバトス。」
小さな身体に大きな手をして、古い機関銃を抱えた生き物が十数匹現れた。
そして少年は静かにゆっくりと手を上げ、オレに向けてその手を振り下ろした。
「放てぇ!!」
その発声と共に、辺りに銃声が響き渡った。
オレはその弾のほとんどを避けたがどうにも相手は数が多い。
左肩を銃弾がかすめていった
「ぐっ!」
オレは痛みの声を上げていた。
だがこの程度はいつもあることだ
そして奴の使役している魔物が持つ銃を古いもの、
装填に時間がかかるようだ、次はチャンスがないと焦りながらも
オレは少年の元へと走りながら棒を握るような仕草をしながら
「あああぁぁぁぁぁああ!!!」
叫んだ。
すると拳を突き立てた少年の胸に、剣が姿を現した。
オレはその剣を以て引き裂いた、指先一つにまで命を巡らす生命の核、
心臓を…そして紅い花が・・・咲いた。
そしてその花が散ったとき、回収係が現れる。
鋭く大きなメスと拡大鏡を持った生き物が―――。
回収係は少年だったものを観察している…
「ウ~ん、ほぼ五体満足ですが…やはり契約者。左手の指が全てありまセんネ。」
そう、少年は契約時に始贄として捧げたのだ、左手の指…その全てを。
「しかしマぁいいデしょう、2点として頂キますヨ。」
そして二つのニンゲンだった物が水にでもなったかのように歪み、
地に溶け込んで行った・・・その後それがどうなるかは知らないが
とにかく溶け、泡となって地へと引きずり込まれるのがイケニエである。
「ふ~、やっぱりパンピーでは楽しめたものじゃありませんねぇ」
クロスティアは不満そうにそう言うと、ハットを更に深く被りながら
夜の闇の中へとフェードアウトしていった。
こうして、今日の"死事"が終った。
今日は割りと楽に終わった方…かな。
シャツの袖を破って包帯代わりにして止血をし、
オレは"いつもの"ネカフェへと足を進めた。
全く・・・こんなこと、來深には絶対言えないよな。。
-第2話 fin-
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