「あっち行け! 化け物!!」



そんな言葉とともに、私の額に石が投げつけられた。

石を投げつけた少年たちは罵声を浴びせながら走り去っていく。




…………でも、反論はできない。


だって事実、私は化け物なのだから。




私の名前は流歌。性は―――――ない。この村では、相当裕福な家でなければ名字など与えてもらえないのだ。それほど貧乏な家である。

そして同時に―――――生来型の獣憑きでもある。生まれつき私の体には、山犬の力が宿っていて、そのおかげで外見は半化け、犬耳に犬の尻尾を持った異形の姿となっている。

この姿のおかげで、私は村の者全員から爪弾きにされている。





―――――いや、正確に言えば、『全員』ではなかった。





「コルァ!!こんのクソガキ共が!!」

『ギャン!!』


長髪の男の人が、さっきの少年たちを思い切り蹴り飛ばした。泣きながら逃げていく少年たちをひと睨みした後、私にやさしく微笑みかけてくれた。


「ケガはないか?ルカ……って、額!血が出てるぞ!」

「あ、この程度はだいじょぶですよ、楽さん……」


神威楽(かむいがく)さん。この町でもかなり裕福な家の人なのに、私のことをやたら気にかけてくれる。なんだかお兄ちゃんみたいな存在だ。


「大丈夫とか言わない!ほら……」

「あ、ほんとに大丈夫ですって!」

「見せてみなさ……あれ?」


楽さんがやたらと額の傷を探している。……くすぐったいんだけど、あえて言わないでおこう。


さっき石をぶつけられてできた傷は―――――実はもうとっくに治っている。生来型の獣憑きの特性の一つ。驚異的な『治癒能力』だ。


「こりゃあ驚いたね……最近力が上がってきてるんじゃないか?」

「……はい……」


そう、ここ数か月で、力がぐっと上がってきている。そのおかげで、『化け物』と罵倒されることも多くなった気がする。

ほんの少し表情が暗くなったのを感じ取ったのか、楽さんが急に話を変えてきた。


「と……ところで、お母さんの容態はどうだい?」

「……あんまりよくならなくて……」


結局私にとっては同じぐらい暗い話になってしまった。


私の母は今、病に伏せっている。何でも、『けっかく』とかいう病気らしい。難しくてよくわからないんだけど。

貧しい村の、貧しい育ちの私はろくな勉強もしていないため、読み書きもできない。獣憑きの知識についてのみだ―――――詳しく知っているのは。


「そっか……よし、これをもっておいき。結核に効く野菜だ」

「あ、ありがとーございます……!」


数日に一度、楽さんは野菜をくれる。種類は教えてくれないんだけど。


その時だ。



『うわああああああああああああああああ!!!!!』



さっきの悪ガキたちの声。振り返ると、大きなイノシシが彼らに向かって突撃していた。


「むっ!!」


楽さんが咄嗟に猟銃を構えようとする―――――





―――――前に。


『シャアアアアアアッ!!!』


体が反応していた。

イノシシに向かって突っ込んで、鋭く変化させた爪を首に突き立てて、切り裂く。

一撃のもとに、首を切り『飛ばす』。

イノシシの体が倒れ、吹っ飛んだ首がその遥か彼方に落下する。


―――――ここまで、わずか3秒。私の体に生まれつき宿っている『山犬』は、私の思いのままに操れる。最もこういった景色を見ると、条件反射的に襲い掛かってしまうけど。


……そして。こんな人助けをしたところで……。


「うわああああ!!」

「化け物!!くんな!!」


汚い言葉を投げつけて、走り去っていく。


「あいつら……!!」

「楽さん!……いいの……」


楽さんが少し悲しそうな目で私を見つめる。

私は軽く会釈して、帰路についた。


結局この力があっても、誰にも感謝なんてしてもらえない。

誰にも喜んでなんかもらえないのに―――――

―――――なんで私はいつも、助けてしまうんだろう……?



いっそ、無視してしまってもいいだろうに……。





ため息をつきながら、家に帰りつく。

藁をぶら下げただけの扉をかき分けて、布団に横たわる母に声をかける―――――



「ただいまー…………っ!!?……お……お母さんっ……!?」





ああ、ほんとになんでこんな力があるんだろう。





こんな力がなければ……………










血を吐き散らし、息絶えた母の気配を、見ることなく瞬時に感じてしまうこともなかったのに。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

四獣物語~魔獣少女ルカ②~

犬耳ロリルカさんですよ。かわいいを極限まで追求した形です。
こんにちはTurndogです。

体に化け物を宿した人間というのは嫌われるのが普通ですね、そりゃそうだ異形を認めたくないのは人間に始まったことじゃないもんね。
でも犬耳犬尻尾で裸足で簡素な麻布の半袖とハーフパンツ調の服着たロリルカさんとか可愛すぎて萌え死ぬと思うんだ。いやマジで。
こっち向いて伏せた状態で『ぐるるるる……』とか唸られたらもう可愛くて死ねる。上目づかいで『きゅ~ん……(´・ω・`)』とか言われたらもうぐほあ(((

因みにピアプロ加入前もちずさんが購読しててくれたそうですが、どうも上記の文章で同じ匂いを嗅ぎ取られたようです。
正解だったね!←

そしてがっくんファンマジ注意。
こいつ、きな臭いかもよ?なんたって四獣物語の男だからね!

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閲覧数:190

投稿日:2014/01/22 11:42:27

文字数:1,909文字

カテゴリ:小説

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