第9話「忘れていたキオク」
飲み込まれた・・・俺も、ミクも、そして他の皆も。
でも、俺は包まれた。と言ったほうが正しいのかもしれない・・・
――――――――――――――――――――・・・。
―はっ!!
俺は、何かから覚めるようかのように、起きた。
「っーーーー・・・」
俺は、頭をくしゃくしゃ掻きながら
辺りを見回した。
「そーいやぁ。儀式があって・・・
それから・・・雷が落ちて・・・」
俺は、半ばぼんやりとした記憶を思い出そうとしたが・・・
途中で切れている・・・
かすかに、覚えているのは。俺の両手に残る
優しい温もり。温かい感触・・・
俺は、少しの間その感じが残る
両手を眺めていた・・・
「って、ここ何処だ?」
自分でも、分からない・・・
辺りを見回しても、他には誰もいない
いや
何にもない。自分以外が存在しないとこ。と言った方が正しい・・・
「そういえば、ミkッ――――」
誰かの名を思い出したのか
口に出して言おうとした瞬間、激しい痛みが頭を襲った・・・
―痛みが消えた頃には、もう誰の名前を言おうとしたのかも
忘れていた・・・
―――――――――――――――――――――
永遠と広がる。白い景色
以前も来たことのあるような場所・・・
そんな、感情が俺の中にあった。
ポツポツポツ・・・ポツポツポツ・・・ポツポツ―――――。
「雨?」
俺は、いきなり降ってきた雨粒を見上げるように上を見た。
「!?」
非常に不思議な光景だ。
雲が無いのに雨が降る、ましてや太陽も空さえも無い
この空間で雨なんてありえなかった・・・
「ッ――――!?」
その瞬間、またも激しい痛みが頭を襲った
「うぁぁぁぁぁ!!」
あまりの痛みに悲鳴を上げてしまう。
今度の痛みはさっきほど長くは無かった
が
それと入れ替わりに
今度は、頭の中で映像が流れ始めた・・・
―それは、俺の過去の記憶
できれば、思い出したくない・・・
悲しいキオク
―――――――――――――――――――
その昔。と言っても
およそ10年前の記憶だ
俺には。母さん、父さん、姉ちゃんに、2つ歳が離れた妹
の計5人家族だった・・・
買い物や遊びに行く時などは
だいたい一緒に行き。その度に手をつないで
行ったものだ・・・
姉ちゃんは、左手を
妹は右手を握ってくれていた・・・
最後の最後まで・・・
――――――――――――――――――――
俺には、最後らへんのキオクがあまり無い
これだけは、ただ単に
覚えてない。では無く、すっぽり消えている・・・
この、映像を見るまでは・・・。
――――――――――――――――――――
映像を見終わった後の俺の目には涙が溢れていた・・・
少しの間、涙は止まらなかった・・・
―――――――――――――――――――――――
「あの子・・・」
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