漫画に時々あるシチュエーション。兄弟が家に彼女を連れて来ると家中が大騒ぎに囃し立てる。あれって冗談だと思いますよね?だけどウチって冗談みたいな家だったりするんですよ。
「…鳴兎の実家って大きい…。」
「密さん家の方が大きいよ、ウチと惑音家は代々執事でね。親父は引退してるけど
兄さんも執事で、弟は養成学校で勉強中。」
「ほええぇぇぇ…。」
急に宿が取れなかったとか何とか言って、あっという間に近かった実家に浬音を泊める事になった。去り際に啓輔が言っていた『少しでも家族を浬音に教えてやって欲しい』と言う言葉。多分母親の料理とかそんな感じの雰囲気を味わって貰いたいって事なんだろうか。
「あれ?」
「…………………………。」
「兄さんが女連れ込んだぁあああああ!!!」
「何でタイミング良く実家に帰って来てんだよ?!」
「そりゃお前今度のプロジェクトで収集掛かったに決まってるだろ。」
「うげっ…兄さん迄居るし…。」
「あ…あの…。」
「初めまして、鳴兎の兄の白兎と言います。総帥から聞いてるよ、浬音ちゃん。」
「は、初めまして!朝吹浬音です!」
「ん~ちっちゃくって髪サラッサラ、可愛いねぇ~いかにも鳴兎好み。」
「ベタベタ触るな!」
寄りに寄って二人共戻ってるなんて聞いてない…。浬音完璧引いてるし…。
「…と…取り敢えずどうぞ…。」
「お邪魔します…。」
「まぁまぁまぁまぁ、いらっしゃい。」
玄関で出迎え――?!どんだけお約束なんですか母さん。そしてそのエプロンは何なんですか、いつもそんな物着ないでしょうが、と言うか料理は父さんが作るでしょうが、事前に連絡した総帥、貴方一体何を言ってくれちゃったんですか!その日はまるで動物園のパンダの様に父さん含め浬音を弄り倒しだった。何処から持って来たのか色んな服を着せたり、夕飯はあれやこれやと雛鳥のエサやり状態、落ち着いたのは夜中に近かった。連絡を受けて整えてくれていた客間に浬音を通した。
「疲れてないか?」
「ん?楽しかったよ?ご飯もすっごく美味しかったし。」
「そっか…なら良かった。」
浬音の嬉しそうな笑顔を見て心からホッとする。あんな事の後だから余計にそう思った。そっと頬に手を伸ばすと甘える様に軽くもたれて来る。警戒心なんて一切感じさせない無防備な顔で…。そう言えば最初に会った時もこんな顔を見たな…俺じゃなくて密さんにだったけど。
「本当無防備だな。」
「え?あ…ご、ごめん…。」
「良いよ、今迄我慢してた分一杯甘えて。」
「鳴兎…。」
―――カタッ。
「………………………。」
「鳴兎?」
ドアを開けるとお約束の様に弟が居た。しかもコップまで持ってやがる…。
「後学の為!」
「帰れ!アホ!それからそこの馬鹿兄貴も!」
実家が激しく落ち着きません。
DollsGame-110.ミセバヤ-
楽しそうで良いじゃないか
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