まえがき この作品はロストディズメモリー1000回再生回数突破記念です。
なので、小説版ロストディズメモリー http://piapro.jp/t/QRWL   小説版アナザーロストディズメモリー http://piapro.jp/t/rfll をご覧になってから読むことをおすすめします。
しかし上記2つはあくまでも補足のザックリ版として書きましたのでご了承ください。
ちなみに動画はこちらです。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm21622409 
こちらもご覧になってくださるとありがたいです。
では本編を。




これは、とある男の子と女の子の物語。

これは、とある男性と女性の物語。

この2つの物語は、過去と現在(いま)を繋ぐ物語。


ラストディズメモリー1

今日もいつも相変わらず、研究とその成果をまとめた研究書制作。
「あ、勝手に読まないでくださいよ!」
あいつの研究書を読んでいると、怒られた。
「別にいいじゃないか本くらい」
「あなたは本の置き方が雑だから、読まないんで欲しいんです。この前も読んだものを本棚の上に置くから、どこに置いたかと…」
「小さいことを気にするな」
「もう…」
難しいことはよくわからない。でも、見ていると勉強になる。
「これ、全部お前が書いたのか?」
「歴史書のこともを書き写したりもしていますよ」
「ふむ…」

『その木は罪人を喰らい処刑させるために改良された

その木の下で殺された罪人の怨念により人食いになった

その塔は罪人を入れる刑務所のようなもの

その塔は新しいものを作るための実験施設のようなもの』

歴史書なんて、本当か嘘かわからないもの。
「これは、真実なのか?」
「わかりません。でも、僕が書いた研究書と別の歴史書を組み合わせると、ある事実がわかりますよ」
「ある事実?」
男性は自分のリュックの中から、いくつかの歴史書を出す。
「まず、本に書いた事に関連するキーワードはわかりますか?」
「わからん!」
「……」
ズバッと断言する姿に、少し戸惑うが、話を続けた。
「えっと…遠まわしなものもありますが、キーワードは罪人です」
「罪人?」
「はい」
なるほど…1番下の文面は、実験台を罪人と考えれば辻褄が合うな。
「僕が思うに、研究書と歴史書に書いてあることは繋がっていて、全て真実だと思うんです」
「あの文全てが?」
「はい」
様々な本を床に広げる。
「研究書に書いてある順番を変えて、歴史書通りにして、説明しますね。
『本によるとその塔は罪人を入れる刑務所のようなもの』
歴史書によると昔々大昔、戦火の時代。戦火に紛れて犯罪が多発した。
溢れ出る罪人を1つの場所にまとめるため、建物を立てた。
その建物が何かは書かれていないですが、塔だと思っていいでしょう」
なんか…こいつ歴史に詳しすぎないか?
「ちょっと、質問いいか?」
「はい?」
「学者にもいろいろある。薬学者、医学者、書物学者、建物学者、歴史学者、考古学者、歴史学者、民俗学者、数学者、植物学者、動物学者などなど…お前はどれだ?」
「えっと…基本は書物ですが、あと資格を持っているのは薬物と植物と歴史ですね。いくつも学者資格を持っていると就職に有利なので」
「……」
普通、学者資格を1つとるだけでも、すごく時間がかかるしすごい頭脳がいる。
しかし、頭が良ければ頭がいいほど、資格をとるテストに合格する時間が早い。
私より若そうに見えるのに…。
「…試験、何回で合格した?」
「2回ほどですね」
「…っ!」
種類にもよるが平均的に資格を取るには4回かかる。まあ私は7回かかったが…とにかく、この速さからみてこいつは相当頭がいいってことか。
なんか才能にイラッとくるな。
「えっと、続きいいですか?」
「あ、そうだったな。続き頼む」
コホンとひとつ咳払いをして、先ほどの話を続ける。
「『本によるとその木の下で殺された罪人の怨念により人食いになった』
歴史書では、多くの罪人の遺体は、木のそばに置いて、腐敗した罪人の肉体を肥料にしたそうです。
怨念なんて、非科学的ですけどね。
『本によるとその木は罪人を喰らい処刑させるために改良された』
歴史書から考えると、多くの罪人を処刑する手間隙をなくすため、罪人を喰らう木を品種改良か何かにより作り出したのかと。
『本によるとその塔は新しいものを作るための実験施設のようなもの』
戦争が終わり、歴史も時代も進み変わります。時代の発展化です。
たくさんの建物、たくさんの施設などを作らなければなりません。でもそれにはお金と土地が必要です。
お金と土地を無駄にしない方法、それは元ある場所を再利用すること。なので、この塔を使ったのかと思われます。
もしも歴史書通りならば、生き残った罪人を発展化のために犠牲にしたんだと思います」
「たしかに、話はつながっているな」
「まぁ、全て真実かわからないですけどね」
「いやいや、書物学者ならばわかるだろう?」
ここで1つで説明しよう。
書物学者とは、この世にあるありとあらゆる歴史書、手記、研究書などの書物すべてを、本当か嘘か見極め決める者。
世の中の出版物には、書物学者による判が押されている。
本当ならば、赤判、嘘ならば黒判、保留や解析中ならば茶判が押される。
「いや、書物学者にも階級がありまして、僕は下の方なので、基本は階級がもう少し上の人のお手伝いなんです。だから断言できる立場ではありませんよ…」
苦笑しつつ言う。
医学者には階級なんてないのに、書物学者にはあるとは、なんだかめんどくさそうだな。
「あと、もしもこれが真実ならば、今と現在で変わっていて、いいことがありますよ」
「変わっていること?」
「ええ、それは取り込み量です」
「全然わからん」
私の言葉に、あいつはまた少し苦笑する。
「えっと、罪人を多く処刑するならば、たくさん喰らうように改良されたと思います。しかし現在は1回に付き1人。そしてまた別の餌を見つければ、今の餌は捨てて新しい餌に食いつく」
「それのどこがいいとこなんだ?」
「昔のままだったら、多分結構見境なく、たくさんの人間を捕食したと思うんですよね」
「なるほど、犠牲者が少なくて済むってことか」
たしかにあれが真実で、昔のままだと私はずっとあの木の中、って可能性はあるか。
簡単に言えば成長しすぎて、大きくなりすぎて、腹一杯になりすぎて、あまり人を食わなくなった、かな。
私は書物学者じゃないので知らないが。
「『全ての真実を疑え。全ての嘘を疑え。全ての可能性を探し出せ。全ての可能性を考えろ』これが、書物学者の鉄則です」
……本当に医学者でよかったな、私は。全然話がわからん。
「なぁ、次は私の話していいか?」
「どうぞ」
「よっしゃ!」
歴史の次は、医学から見たあの木に関して、私たちは話し合った。
楽しく、しかしたまには激論し合い、気づけば寝るのを忘れ朝が来ていた。
激論が少し小さなバトルにも発展したせいか、どちらもだいぶ疲れている。
「……喉が渇いた」
私とのバトルに負けたあいつは、ぐったりして動かない。
なので、そのうちにあいつのバッグをあさり、栄養ドリンクのようなものをゲット。
それをグビッと飲む。
「あ、それ飲んじゃ」
「まずい!」
思ったよりまずかったので、私は思いっきりドリンクを壁に叩きつけた。
「あ、起きてたのか」
「起きてましたけど、疲れてたので横になってたのですよ。それより、人のものを勝手に取るどころか飲んで…」
「別にいいだろ。ドリンクの一本や二本」
ため息をつきつつ、あいつはもう一本同じドリンクを出した。それには、危険を示すマークが書かれていた。
「……マジか」
「結構強力な活力剤です。ここにある、枯れた植物に数滴垂らして、枯れる前の状態に戻して観察、そのためのドリンクです」
「ってことは…」
先程、瓶を叩きつけた壁を見る。そこには蔦がある。瓶の中にはまだ中身が残っていた。
嫌な予感がしたが、もう遅い。
ゴゴゴゴゴっと言う嫌な地響きが聞こえる。
「なんか…ヤバくないか?」
「一旦逃げましょうか」
「そ、そうだな」
そそくさと荷物をまとめて、塔の出入口へ。
「さぁ、行こう」
私はそう言って後ろを見ると、あいつは天井を見上げていた。
「どうした?早く一旦街に戻ろう」
「…いえ、僕はここに残ります」
「はぁ?いやいやいや、何かがおかしくなっている。一度避難したほうがいい」
「ちょっとやり残したことがあるので、戻ります。あなただけでも街に戻ってください」
あいつの目は、何かを決めた目だった。
「……わかった。後で必ず戻ってこいよ」
「…はい」
そう言って、ニコリと笑う。
この笑顔が、最後に見たあいつの顔。
あの笑顔が、今でも目に焼きついて離れない。
私はどうなったか?
私は脱出した。
しかしそのあと、塔に太く大きな蔦が大量に絡みついて、出入りができなくなってしまった。
あれが枯れる頃には数十年立つだろう。そう思った私は、一度街に帰り、現状を報告した。
「これが、もうひとつの失われた日々の記憶。アナザーロストディズメモリーだ」
「ふむふむ…」
過去を語り終えた私は、ふうっと、息を吐く。
「枯れるのに数十年ってことは今のあなたの年齢は…」
「年齢は聞くな!このオカマが!」
「いやん、別にいいじゃない、オカマだろうがなんだろうが」
「はぁー」
まったく、腕のいい出版者がいるからと言って、派遣してされたのがコイツか。最初のインパクトすごかったぞ本当。
まあ、私は真実を言えても、それを本位まとめる技術はないからな。
「んふふふふー、で、あの子の話、ロストディズメモリーも出版すればいいのよね?」
「彼女にとっては辛い話だろうが、世間に、政府に、起きた出来事を明確にして伝えなければならないからな」
「でも、あなたが学者さんの持っていた活力剤で、あの気を活性させた?ってことは欠かなくていいのかしら?」
なんだかムカつくニヤケ顔で聞いてきた。超殴りたいなあれ。
「それは…内密で。そもそも、あれで活性したかどうかわからないんだし…な!」
「そレもそうね。しかしあの学者さんも書いていた本で真実を伝えるとは…よっぽどあの人のことが好きなのね」
「はぁ!?い、いやいやいや、べ、別にあいつのこと好きなわけじゃ…」
「好きじゃなきゃ、一度避難したのに数十年たった今、またここに来る意味ってなぁに?」
キセルをふかし、なんだか艶かしく聞いてきた。
私は顔が赤くなるだけで、何も答えられない。
「ま、いいわ。それより、結局あなたが言う学者さんは今までずっと行方不明。そしてあなたは街に戻れた。その時住民は生きていた。よね」
「ああ、歴史書によると、街は一度滅び、そして住人全てがいなくなった。塔に行ったあの子達以外は…」
「きっとあの男の子も一度は大人を呼びに行ったでしょう。けれども塔に行っているあいだに街は滅び、頼れる大人は誰もいない。そしてあの女の子も、助け出された時には頼れる大人は誰もいなくなっていた。…なんだかかわいそうよね」
「……なぁ、次は、あの子達の視点から考察しようか」
そう言って、一冊の本を取り出す。
「ロストディズメモリーの考察?」
「ああ、出版するに至って、何か変なことはないか。考えよう。あの子も交えて」
「いいわね。そしてそれが終わったら、この国を出ましょう。この国は危険だわ。終わったら、私が住む平和な国ガーネットへいらっしゃい。みんな歓迎するわ」
「そうするけど、襲うなよ?」
「襲わないわよ、あんたみたいなガサツな女」
「が、ガサ?!」
パンっ!と、オカマは手を叩く。
「さぁ、始めましょ。最後の失われた日々の記憶の考察を」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ラストディズメモリー 1

がくぽイメージのキャラがナチュラルにカマ化したw(;´Д`)
そして2人の年齢は聞かないであげてくださいw(´・ω・`)

ロストの動画内で、本が棚の上から落ちてきた(本棚の上にあった)という伏線?wをつなげてみました。

なんら関係のない皆さまへの伝言
なんかパソが以上に重いのでいろいろ遅くなりそうです・゜・(ノД`)・゜・

閲覧数:197

投稿日:2013/09/03 11:30:41

文字数:4,847文字

カテゴリ:小説

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