「「今年の夏はー! ・・・写真対決だー!!」」
ひとまわり成長したムウとフワが思いっきり叫んで、今年の夏は始まろうとしていた。
「いやー、今年も来ましたよ。フワさん良かったですね!」
マイクを持ったムウは、笑顔でフワに言う。
「そうですね! 打ち切りにならなくて良かったです!」
「・・・打ち切り・・・ずいぶんシビアなこと言いますねぇ。まあ、それはさておき、今年の夏は写真対決でお送りしたいと思います!」
「写真対決って、何するんだ?」
2人を見ていたアカイトは聞く。
「・・・それを今から説明するんですよ。アカイトさん、夏しょっぱなから空気読めないですね全く」
ムウは、おおげさにため息をして言った。
「だって、バンも思うだろ?」
「そうだな」
アカイトの傍らにいるバンも頷く。
「ありゃりゃー、バカップルは全く空気読めないっと・・・メモメモ」
「俺たち、バカップルじゃねーよ!」
「別にバカップルでもいいと思うぞ?」
「あ、でも、バンさん、ごめんなさい」
バンには真摯に頭を下げるムウ。
「あ、おい! 俺にも謝れよ!」
「やなこった☆」
「あー、そこらでコントはやめて下さいよー! いっつもここで長引くんですからー!」
フワが口を出す。
「そうだね、コントはやめよやめよー」
「・・・」
軽々しいムウに、アカイトはあきれて何も言えなくなった。
「「気を取り直して、今から今回の写真対決について説明したいと思いますー!!」」
なんだか楽しそうなムウとフワ。
「「3つのグループに分かれて、どのグループがいい写真を撮るかを対決します! それで今回はここ、バンさんの研究所を飛び出して、この町全体が舞台となりますよー!!」」
「楽しそうですね!」
ジミが目を輝かせる。
「そうだね・・・♪」
隣にいる赤いフードのレトは頷く。
「え、3つのグループって何だよ?」
またもや、アカイトの質問に、
「・・・それは今から言うからさ、私に話しかけたいばっかりにいちいち質問するのやめてやめてよー」
今度はおおげさに肩をすくめてムウは言う。
「・・・・・・別に、ムウと話したいわけじゃないんだけどなー」
「ん? じゃあ、私が可愛いから? あーやだやだー」
「・・・ムウさん、3つのグループを発表しましょうか?」
「分かったよー。フワさんやー」
「「さて、今から、3つのグループを発表します!!」」
言葉も動作も全て同じなムウとフワ。
「「まずは、1グループから! メンバーは、アカイト、バンさん、ミンさん、モコさん、ルワさん、ミヤさん、タマさん、シオンさん、鈴々さん、ロキさん、リウさん、ギルさん、ルナさん、ナナさん、テトさんの合計15人になります!!」」
「何で俺だけ呼び捨てなんだよ」
「だって、・・・ね?」
アカイトの文句に、可愛らしく首を傾げるムウ。
「・・・」
「いいじゃないか、アカイト」
再び黙りこくるアカイトに、バンは言う。
「「もうバカップルは放置して、続いては2グループです! メンバーは、ピノさん、ダッツさん、リアさん、ラクさん、ウサさん、柔音フワさん、アリスさん、メイさん、りんごさん、ベルにゃーさん、ミナにゃーさん、雨羽さん、ルカさん、ネルさん、ニガイトさんの合計15人ですね!!」」
「わーい、2グループ! うーうー!!」
うさぎとクマのぬいぐるみを振り回してはしゃぐウサ。
「そうですね」
ルカはすっごく笑顔で、ウサを見つめる。
「「微笑ましいのは大歓迎です! 最後は3グループ! メンバーは、ジミさん、レトさん、グルトさん、マツキさん、シキさん、ミドリさん、うさグミさん、ノームさん、セトさん、ネムリさん、ナエルさん、ワンさん、めぐっぽいどさん、愛斗さん、ジュラさんの合計15人になりますよー!!」」
「あら? 今回はバンちゃんとは、離ればなれになるのね?」
「そうですね。残念です」
愛斗とジュラは呟く。
「どのグループも、すっごく楽しそうよね!」
ナエルが、びしっと言う。
「「さて、もう今からスタートにしましょうか! ・・・っと、その前に、カメラを1人1台持ってって下さいねー!!」」
「へー、デジカメかー。手ブレ防止って書いてあるけど、どうしてもブレるんだよなー」
アカイトの言葉に、
「それは、アカイトさんが古いからですよ」
ムウはぼそっと言う。
「そ、そんなことないしっ!」
「いいから、もう始まりますよ」
必死に否定するアカイトに、ムウは白々しく言う。
「・・・俺、ムウにきらわれてるのかなー」
「そうだと思うにゃんよー」
がっくりと肩を落とすアカイトに、ミンは意地悪く笑う。
「「さーて、みなさん準備はいいですね? それでは、写真対決スタートです!!」」
その声が響いて、みんなはグループごとに外に出たのだった。



まずは、1グループから。
「わーい、外だー外だー! みんなと外だー!!」
カメラを持って、メンバーを撮るシオン。
「そんなに撮ったら、枚数なくなっちゃうわよ」
冷たく言うタマに、
「これは、いくらでも撮れるの!」
笑顔で言うシオン。
「・・・そう」
ちょっと棘が抜けるタマ。
「で、どこに行くの?」
リウは言った。
「んー・・・。まずは、中央地区に行くか。商店街とかあるからな」
アカイトの言葉に、
「商店街とか、昨日行ったおよー」
テトはぶつぶつ言う。
「何か安かったアルか?」
「肉まんが安かったおー」
「え、本当アルか!? じゃあ、商店街行くアル!!」
急にテンションが上がった鈴々は、1人走り出す。
「あ、待って下さーい!!」
モコが追いかけ、
「僕もー」
ルワも、そのあとを追った。
「・・・先が思いやられるわね・・・」
ため息を1つこぼして、タマは呟いた。



続いては、2グループ。
「みんなと散歩! うーうー!!」
ハイテンションなウサ。
「ウサちゃんは、元気がいいねー」
ミナにゃーは呟く。
「それでどこに行きますか?」
しっかり者のルカは仕切る。
「はいはーい!」
勢いよく手を上げるピノに、
「何ですか?」
ルカは聞く。
「裏通りって、結構古風な風景があるよ!」
「ほんとですか」
「ならそこにやってみよー!」
「?」
メイの発言に、首を傾げるみんな。
「それなら、行ってみようとかじゃないのかー?」
りんごが明るくツッコミする。
「あ」
「別にいいんじゃないの?」
目を丸くするメイに、ネルはカメラをいじりながら言った。
「日本語に慣れてなくても、誰だって言い間違えることはあるわよ」
「・・・ネルさん」
メイはすっごく嬉しそうに、ネルを見る。
「ツン100%の口調でも、こういう展開あるのか」
「これは予想外だな」
ダッツとベルにゃーは言う。
「じゃあ、裏通りに決まりー! うーうー!!」



続いては、3グループ。
「どこ行くわん?」
地図を持ったワンは、みんなを見回して呟く。
「みゃーみゃーみゃー!」
すると、うさグミが鳴き声を上げながら、ころころ右に左に転がり出した。
「みゃーみゃー!」
「ふむふむ・・・」
神妙そうな顔つきで、ノームはうさグミの声に耳を傾ける。
「きゃー! 可愛い組み合わせね!」
その後ろで、愛斗がはしゃぐ。
「・・・何て言ってるんだ?」
グルトがおそるおそる声をかけると、
「パズル川の土手をどうか?と言っています」
もはや真剣な表情で、ノームは答える。
「そうか・・・」
そんなノームに、グルトは頷くしかない。
「ねえ、ノムたん。なんでそんなに真剣なんだい?」
セトがにこやかに言う。
「の、ノ、ノム・・・たん・・・・・・っ!??」
「あれ? 初めて会った時に言わなかったっけ?」
「・・・セトさん。ノームちゃんと呼んでやって下さい」
見かねたジミは、セトに言う。
「しょうがないなぁ。・・・でも、口ではノームちゃんと呼んでても、心の中ではノムたんって呼ぶからね」
こくこく頷いていたノームだったが、最後のセリフだけは動きが止まった。
「・・・こんな感じで大丈夫かなー」
「多分、大丈夫だと思いますよ」
マツキの言葉に、シキはのんびりと空を見上げながら言ったのだった。



「3グループとも、ちゃんと行き先決まりましたねー。良かった良かったですよー」
たくさんのカメラのある部屋の中で、ムウはほっとしたように言った。
「そうですねー♪」
フワも、ふわふわとした笑顔で頷く。
「さて、私とフワさんは、人数分のカメラに取りつけた小型すぎるカメラでみんなの様子をモニタリングしながら、見守りたいと思いますよ!」
「見守りたいといえば・・・「「見守り隊ーーーーーーー!!」」
途中からフワとハモるムウ。
「まだまだ始まったばかりですからね! どんな騒動があるのか、楽しみです!」
「今回は、個人の動きが追えますからねー♪ では、1グループのカメラを見てみましょうか~♪♪」



1グループのカメラ。(鈴々編)

「すいません。肉まん下さいアル!」
一番乗りで中央地区に着いた私は、真っ先に肉まんのお店を見つけ注文する。すると、奥から髪を1つに束ねた女の人が出てきた。
「肉まんね! 1つ?」
「・・・んー」
1つと言いたいところだったけど、みんなが来ている途中だし、かといってみんなの分を買うというのも・・・。
「1つでいいアル!」
結局、1つにした。味見をしたいだけだし。
「はい」
お金を渡して、肉まんを受け取る。・・・って、あっ!
「あー・・・」
私としたことが・・・何とあろうことか、肉まんを落としてしまった。
「・・・もう1個、あげるわ!」
落ち込む私の表情が痛ましかったのか、そう女の人は言ってくれたけど、
「私の中で、こうなったときはそのお店へは2度と行かないって決まってるアル。・・・ごめんなさいアルよ」
私は謝って、とぼとぼと店を後にしたのだった。



2グループのカメラ。(ピノ編)

今、上下地区の外れの方の裏通りにみんな来ていて、思い思いに手に持っているカメラで風景なんかを撮っている。
・・・私はどうしようかなぁ。なーんて思いながら、ふとにゃーさんが目に留まった。珍しく、ミナにゃーさんとはじゃれ合わずに、真面目に被写体となる風景かな? 物かもしれない。真面目に探索していた。そんな様子に、ちょっと眺めていたら、
「にゃーさんのことが気になるの?」
いつの間にかミナにゃーが近くに来ていて、私に言った。
「えっ!? そんなわけじゃなくて・・・今回は、真面目に頑張っているんだなって思って、ちょっと見てました」
「にゃーさんはねー・・・ああ見えて、写真撮るのが好きなの。家にもたーくさん飾ってあるよ」
そう言うミナにゃーさんの表情はとっても誇らしげだ。
「だからねー・・・って、猫っ!」
何かを言いかけたところで、猫を発見してミナにゃーは向こうに走ってしまった。・・・何を言いかけたんだろう? ちょっと気になったけど、私も写真を撮ることに専念することにした。



3グループのカメラ。(セト編)

あれから10分もしない内に、ボクたちはパズル川の近くの土手に来ていた。早速、写真を撮りにばらばらになったので、ボクはのんびりと川原の方へ歩くことにした。
「いい天気ですねー!」
すると、シキくんがボクの後ろをついてきた。
「シキくんは夏になると元気になるんだね。ボクとしては、モノクロなシキくんも好きだよ?」
「えっ・・・」
さすがに戸惑ったような声。ボクはそれに構わず、穏やかに流れるパズル川を見つめる。
「シキくん、ちょっと手伝ってもらってもいいかな?」
ボクは後ろを振り返って、シキくんに、にっこりと笑いかけたのだった。



1グループのカメラ。(アカイト編)

「あっ!」
前を歩いていたモコは、声をあげて立ち止まった。
「どうしたんだよ、モコ?」
危うくぶつかりそうになった俺は、モコが見ている方向を見た。
「はあ・・・」
いつもの元気さが全くない鈴々が歩いてきていた。
「どーした?」
ロキが気まずさも何も気にせず、鈴々に聞く。
「実は・・・」
こう前置きして、鈴々は落ち込んでいる理由を話した。
「そうなんですか・・・」
「落ち込むの、分かるような気がします・・・」
話が終わって、モコとナナは口々に言った。
「・・・今度、肉まん買ってあげるお! だから、元気出してだお!」
「ほんとアルか!?」
テトの言葉に、一気に元気を取り戻す鈴々。
「あはは、元気になったおねー」
「それじゃあ、こっからは別行動にするか。しばらくしたら、ここに集合な」
俺の言葉に全員が頷いた後、別行動になった。さて、俺も写真を撮るか・・・と思いながら、ふと隣を見ると、
「・・・」
リウちゃんが俺をじっと見ていた。見ていたっていうより、可愛く睨みつけてるって感じだな。
「何か、用か?」
「・・・何でもないっ!」
声をかけてみると、ふいっとそっぽを向いてナナちゃんのところへ走ってしまった。
「何なんだ、一体」
「何でしょうね、全く」
「・・・モコ、どっか行ったんじゃなかったのか?」
「私がいなかったら、良かったんですか?」
「別に・・・。モコは誰かと一緒に行動しないのか?」
「アカイトさんこそ、バンさんはどうしたんですか?」
「あー、バンはな、外に出るとどうしても科学者としての血が騒ぐらしいんだよ」
「アカイトさんそっちのけってわけですか」
「空気中と地表面の温度は差があるんだぞとか日向と日陰じゃあ植物が違うんだぞとか言ってたからな。まぁ、俺としては分からなくもないけど、そういうバンって可愛いんだよな・・・」
「・・・私、やっぱりミンさんたちのところに行くことにします」
複雑そうな表情でモコは言って、向こうへ行ってしまった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ長編・前編(上)】 今年の夏は写真対決で決まり!

こんばんは、もごもご犬ですこんにちは!!!
久しぶりですw
最初は投稿するつもりはなかったんですが・・・だって、最後まで完成してなかったからですねー、はい。
しかし、とあるサイトで文字数カウントという便利なものを見つけて早速使ってみたところ、・・・え?と思わず首をひねってしまいました。今回は、やっぱり書きすぎたみたいですwwww
とりあえず、文字数的にキリがいいところまで投稿しておきます!
これからが楽しい・・・と思いますがw
やっぱり投稿するのは楽しいですね。元気が出ますwww
・・・そういえば、もごもご犬ってどれだけの人が知っているんだろう・・・。
ちょっと気になる最近ですな!

今年はパワーアップしてるなって思います><
次回も、お楽しみに!^^

閲覧数:83

投稿日:2011/08/08 20:31:18

文字数:5,636文字

カテゴリ:小説

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