テスト期間を終え、クロはほとんど毎日アジトに来るようになっていた。
そんなある日のこと。
買い物から帰ったキドとおかえりーと迎えたカノの話。
「おかえりー」
「あぁ、帰った」
ムスぅっとキドを見上げるカノ。
「…な、なんだ」
居心地悪そうにキドが聞く。
「あのねぇ、今のは『うんっただいま!!カノ♪』でしょ?」
「はぁ?」
「年頃の女の子が『あぁ、帰った』って…」
はーっとため息をつきながらカノが言う。
それはそうだな、とクロは思った。
確かに1人称が「俺」だったり色気のない洋服を着ていたりはするけれど……。
長い髪も肌もきれいで、顔だちも整っていて、背も高いし足も長い。
スタイルもいい上料理も掃除もなんでもできる。
普通にしていれば間違いなくモテるタイプの人だ。
もう少し年が近かったらボクだって好きになってたかもしれない。
ちなみに。
クロが可愛いな、と思っていた井浦梓は転校して行った二階堂風香によって
今までつくろってきた体裁や、ライバル心からの二階堂自身への嫌がらせなどを暴露され
彼女の周りからはあっという間に人がいなくなっていった。
クロもその1人で、こんなことで判断しちゃうのもなとかホントはいい人なのかもなとか思いながら、でもやっぱり裏表のある人ってな……といった感じだった。
まぁ、それは置いといて。
「えっひどくない!?ボク結構傷ついたんだけど!?」
自分の人を見る目のなさに?
「井浦さんがそんないわれをする人かはわかんないけど……まぁそんな感じかなぁ」
ふーん……ところで誰としゃべってるの?
「え?あれっ?」
カノはキドを通せんぼしていた。
「……どけ」
「いやだね」
「どかないなら」「殴るの?」
キドが言い終わる前にカノが言う。
「あぁ」
「僕一様男だよ?」
「?だからなんだ」
「さーぁ、なんだろうね☆」
おちゃらけてごまかすカノに痺れを切らしたキドは、いつもと同じように右ストレートをカノのみぞおちめがけてはなった。
ぱしっ
「!?」
「ね、キドより身長はないけど力はあるんだよ?」
「っ…はなせ」
「だーからいやだってば♪」
本当に外せないらしい。
「……どうすればいいんだ」
「ん――……あ、じゃコレで」
カノがどんどんキドに顔を近づけたかと思うと……
「うわぉ……///」
クロは両手で顔を隠した……左手の人差し指と中指は開いていたような。
そして小声ながらも興奮をあらわにしていた。
「やっぱそうだったんだ!!すごっやっばぁ///ナマで見ちゃったよキスシーン…なにこれすごい興奮するっ」
今夜は眠れないなとか考えながら廊下でいちゃつく2人の観察を続ける。
ゆっくりと顔を離した。
「……期待通りの反応ありがとう☆」
「…………うるさぃ……」
キドの顔はこれでもかというほどに赤くなっていた。
結局その日は、キスとキドの反応に満足したのかカノは退散し、
キドは買ってきたものをしまい自分の部屋に閉じこもってしまった。
「もうちょい見たかったかなぁ……えへへ///」
クロくんが思春期爆走なうです
カノキドになってますが気にしないでくださいね☆
お疲れクロくん。
「別に疲れてないよー?……えっへへ///」
(小声)キモいよクロくん……そんなに見たかったの?あの続き。
「めっちゃめちゃ見たかった」
ごめんねぇ、ボクに文才がないもんで。ていうかキミにはちょっと早いんじゃないのと思うのだけど?
「そうかなぁ」
いいの?すごいんだよ?大人のセカイって……
●●●(自主規制)を●●●(自主規制)して●●●(自主規制)に……
「きゃあ――っ///」
クロくんかわいいね
「あ、いや…」
ね、すごいでしょ。
「うん……」
クロくんのなにかを煽っちゃったみたいです
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