（ムコウはどんなところなんだろうね・・・）

寒い寒い　真冬の季節

白い雪が　ちらつく季節

暗い路地で　一人の少女が

小さな光を　売っていた

（マッチは・・・マッチはいりませんか？）

道行く人は　気にも止めず

気遣う人は　足も止めず

それでも少女は　売り続けた

小さな光を　売り続けた

全て売らねば　家にはもどれぬ

全て売らねば　親には会えぬ

少女は小さな体を縮め　目を閉じた

天国（ムコウ）はどんなところなんだろうね？

暖かい場所（トコロ）なのかな？

優しい場所（トコロ）なのかな？

そう　きっととても素晴らしい場所（トコロ）

夜も更けて　寒さが少女の体を襲う

少女は光を　一つ擦った

とたんに光が　少女を包む

光の中に　見えたのは

キレイに飾られた　ツリーだった

こんがり焼けた　七面鳥や

ほかほかの　ストーブ

でも掴もうと　手をのばしたら

とたんに　消えてしまった

おばあさまから　聞いたお話

「流れ星が流れるとき

　　それは誰かの命が消えるとき」

光を擦って現れたのは　大好きなおばあさまだった・・・

でもおばあさまも　光が消えたら消えてしまう

いやだ・・・まだ、消えないで！！

天国（ムコウ）はどんなのところなの？

癒しあふれる場所（トコロ）なの？

夢のあふれる場所（トコロ）なの？

ねぇ連れて行って　その素晴らしい場所（トコロ）へ

新しい年　街の人々は

路地で眠る　少女を見つけた

朝の光に照らされて　静かに眠る天使を

光の燃えかすを抱え　幸せにほほえむ天使を・・・