旧市街、灯す洋燈(ランプ)と
挿話に満ちた世界、色は失く
墜ちた電線の端から
拾い上げた聲は途切れた儘

生きなさい、と歌う警笛(サイレン)
左様ならと独り言ち来鳴く果て
無色透明の命が
忙しく明滅して消えたようだ

浮雲、散って淡日(うすび)差す窓辺に
溢る言葉の燐光が
今も救い許りを願う儘
祈り方も知らずに腐って征くんだ

微睡む街、枯れた紫蘭の花も
過去に沈んだ幻影だ
思い出し続けても間に合わない
あなたの姿が今に欠けて仕舞うわ

明日、世界が終わるなら
なんて言葉に意味は何も無く
終末に気付かないように
眠る事が出来れば其れで良いわ

目覚めて、命を食べて
生き続ける事が幸せだと
云われて仕舞えば其れは
私にはまだちょっと難しいな

幾日と歩けど辿り着く頃に
あなたは其処に居ないようだ
足跡も砂礫に隠れて征く
不確かな道標、今を鎖す儘
廻る星だけが在ったのだ

滲む灰色に伸ばす両の手が
彷徨った儘、泣いていた
奇麗だった言葉も音無しく
あやふやな意味だけを残して仕舞うわ

見渡す限りの世界は広く
小さな私を縁取って
其の総てを抱えておけるなら
あなたを探す事など造作も無いわ
 
誰かが叫ぶ正しさに
掻き消えた「助けて」の言葉が幾層に
満ちて仕舞う世界の
美しいエンディングは見飽きたんだろう?

心音を送る電波塔
黒兎を追った終末のワンダーランド
抱き締めた此の星が
あなたの居ない儘、廻って仕舞うわ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ヴァニタスと常夜燈/裏命 歌詞

ヴァニタスと常夜燈/裏命 の歌詞です。

閲覧数:340

投稿日:2023/06/02 09:48:37

文字数:612文字

カテゴリ:歌詞

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