非現実を愛してるって言っていた君。

でもきっと、気付いていたんだよね?

―――あれは、最善策じゃなかった。


【目を覚ます話&目を疑う話】


ただ、君を見つめることしかできない私は、ただのプログラム。

―――嗚呼、思い出すなぁ。

私は以前、別の場所にいた。

そこは、"今の私"が作られた場所。

…というのも、私はもともと人間だった。

そのことを、私は未だにご主様に話していない―――…



私は普通の女子高生。

【榎本貴音】なんていう名前もあった。

…あの日、随分と平凡で、何一つ変化のないと思っていたあの日。

私はいつものように参考書を机に広げ、その上でゲームをしながらラジオを聞いていた。

確か、お気に入りの歌番組を聴き終わって、消すのが面倒だったんだ。

たまたま付けっ放しにしていたラジオから、わけのわからない"音"が流れてきたんだ。

―――『本日、地球は終わります。』


その直前に、聞き取りにくい外国語が聞こえた気もすれば、その直後にざわざわと雑音が聞こえた気もする。

…でも今は、そんなこと関係ない。

人生初、ノーセーブのままゲームの電源を切って机の上に放り投げる。

どうすればいいかわけが分からなくて、充電中だった音楽プレーヤーに付いている、ヘッドホンを耳にした。

ディスプレイには、入れ覚えのない"アーティスト:enemy タイトル:00000 "という表示が出ていた。

落ち着くために、私が音楽を流そうとした瞬間、


―――『生き残りたいでしょう?』



聞いたことのあるような、初めて聞くような、不思議な声が流れてきた。

―――『あの丘を越えたら20秒で、その意味を嫌でも知ることになるよ。』

―――『疑わないで・・・さぁ、20秒先へ・・・』

「・・・分かったよ。」

私は誰にともなくそう呟いて、家を飛び出した。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

カゲロウプロジェクト Ⅲ

人造エネミー×エネの電脳紀行×ヘッドホンアクター 編

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ただただ走る

真実から目を背けないために―

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「カゲロウデイズII -a headphone actor-」は9月26日より発売中

閲覧数:304

投稿日:2012/09/30 11:44:29

文字数:797文字

カテゴリ:小説

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