※注意※

 この小説には、ボカロ以外のキャラクターも出てきます。
 オリジナルキャラクターに嫌悪を抱かれる方は読まないことをおすすめします。

 それでもおk! って方は↓↓どうぞ!








 またたく星は自嘲う。
 僕らは、なんてちっぽけなんだろうか。





 心地よい振動が、全身にしみわたる。
 目を閉じれば、タイヤが石を蹴飛ばしたり、地を踏みしめて走る音が耳に届く。そういったものに浸りながら、僕は母さんと一緒に車でばあちゃんの家に向かっていた。
 冬休みになり、クリスマスあたりから元旦にかけてはばあちゃんのところに行くのは、恒例行事。ただでさえ短い休みのなか、それでも宿題はたっぷり出される。おかしいだろこの量。そのため、冬休みの宿題を持っていくのを忘れると大変なことになる。まあ、どうせ僕は追い込まれてから実力を発揮するタイプだから、どうせかばんに詰めたところで一回も開かずに一週間が終わってしまうんだけど。
 ばあちゃんの家は、うちから十キロほどのところにある。距離があるわけではないけど、山をひとつ越えないといけないので、遠く感じるし、時間もかかる。まあ、どうせ車だから僕は寝てるだけで着くんだけど。
 もしもここが都会じゃなくて東北とかだったら、雪で山なんて入れないんだろうなあ。雪が降るとみんな喜ぶけど、向こうの人たちにとっては災害以外のなにものでもないのだろう。テレビで、汗をかきながら雪かきをしてる人を見て思う。僕は、あんなところには住めない。
「蛍、起きてる? もうおばあちゃん家よ」
「ほーい」
 車が止まり、むくりを身を起こすと、四角い窓いっぱいの茶色い枯れ木。ぱっと見は細いのに、なぜか彼らは頼もしい感じがする。夏になると、たくさんの青々とした葉をつけるからだろうか。こいつらも生きてるんだなあと、実感する瞬間。
 ばあちゃん家の周りには、入ったら最後、迷子になるしかない雑木林とだだっ広い畑があるだけで、おとなりさんは一キロ先。近所づき合いもなにもあったもんじゃない。それでも、たまに人がいるから恐い。乾いた木ぎれのような腕をしたどこかのばあちゃんが、うちのばあちゃんとげらげら笑ってるのを見ると日本って平和だなと思う。
「おお蛍、久しぶりだのう」
 車から降りると、八十代も後半にもかかわらず、支えなんかなくても歩けるばあちゃんが出てきた。さすがは女手ひとつで母さんを育て、学校の校庭ほどある畑を一人で切り盛りしてるだけのことはある。女って強い。とりあえず、会ったらハグの決まりなのでばあちゃんに抱きつく。
「元気そうでなによりだよ、ばあちゃん」
「おおう。ばあちゃんは風邪ひとつひかないぞい。最近の若えもんとは違えんでな」
 ばあちゃんはがははと笑うと、腕に力をこめた。やばい、全身が軋んでる。超痛い。どこから出てくるんだこんなばか力。
「ば、ばあちゃんギブギブ!」
「若えもんは弱っちいなあ」
「お母さんがおかしいんだと思うけど」
 そうだ、母さんの言うとおりだ。ばあちゃんは強すぎる。なんで僕よりも九十近い年寄りのほうが握力が上なんだ。おかしいだろ。僕が口をとがらせると、ばあちゃんは僕の頭をぞんざいに撫で回した。
「力なんてなくてもなあ、大事な人間守れりゃいいんよ」
 そのときの僕はまだ、その言葉を理解できなかった。





 つづく

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

盲目の宇宙飛行士―小説03―


 というわけで、黒髪ストロングPの盲目の宇宙飛行士03お届けします、パレェド宅急便です!
 未だに、どのくらいの量をうpしたらいいかわからないのですが、どうなんでしょうか。自分はやたらと改行したり、場面が変わるところ以外行を開けたりとかしないのが信条なので、あまり長いと見るのに疲れてしまうかなあと思い、短めにしてるつもりですが……うぬぬ。


 それはさておき、作品の話に移りましょー。

・最初の、「またたく星は自嘲う」の「自嘲う」は、わらう、と読みます。一応ね。
 星とは、光とはなんなのか――私なりの考えを、この小説で伝えたいと思っています。

・東北とか災害とか、狙ったように単語が出てきていますがわざとではありませんあしからず。気分が悪くなったかたは本家盲目の宇宙飛行士を聴きましょう。れっつりっすん。心が落ち着きます。

・枯れ木は、細いけど頼もしいんです。それなら、乾いた木切れのような腕の、どこかのおばあちゃんは? そして、普段は服で隠れている細い手足のあの子は――?

・ばあちゃんてらいけめん。


 今回もボカロたちの登場はなし、と。すいません本当にすいません。次も、もしかしたらしばらく出ないかも。主人公オンリーかも。楽しみにしてるかた、もうすこし待ってください。どうしても、キャラよりも話を優先してしまうのがパレェドなので。

 あと、書いたらすぐうp方式なので、もしかしたら流れによってはうpしたものをごっそりと書きかえるかもしれません。そのときはちゃんと書きかえた報告をしたいと思います。

 では、今回はここらへんで。
 次回、【さらば友よ! お前の屍を越えてゆく!】お楽しみに!
 ※タイトルと内容は、予告なく変わる場合があります。ご注意ください※

閲覧数:108

投稿日:2011/03/15 17:38:01

文字数:1,409文字

カテゴリ:小説

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