――ある戦争の末の某国での、最早窮屈な常套句ともいえる胡散臭さ極まりない舞台での出来事。
飢餓や流行病に蹂躙された国民たちは数ある物語のお約束のように生存欲に支配され怠い本能に従順な下部となった。
人口に対して作物・水分が不足した状況下に於いてこの国は、何処の漫画にもアニメにもみられる頭の悪そうな国家分断へと歩みを進めた。それはある意味での人間の無垢の象徴とも言える。ここぞとばかりにきどりたがる幼い雰囲気の抜けきらぬ上層部連中はくだらない名前を付け、今ここに生半可な国家が産み落とされることとなったのだ。
≪マダラカルト 第壱話【自己解釈】≫
名乗るは東の「極東帝國」と西の「第九帝国」。飽和しきった科学技術と宗派の中で両地区は、エンターテイメントとして成立してしまった戦争を商売とし、武装蜂起の字面に心奪われていた。
第九帝国は少年時代の憧れを莫大な予算と共に再現すべく、巨大ロボット兵団“九龍”を立ち上げた。一方極東帝國はまた異なった胡散臭さを辿り、改造人間“斑祟(マダラカルト)”を生産し、対抗馬とするのであった――.
XXXX年。
「あっれー……いないなあ……」
彼女は、神社の脇にある径を歩いていた。
黒いワンピースを着た少女だ。
彼女の名前は沢渡優奈。彼女はとある男を探していた。
――『長谷辺太郎』
かつて彼女の同じ学校のクラスメイトだった人間だ。一度だけ彼の自転車の荷台に載せてもらったりしていた。
彼女は、不登校に極端な美学を見出していた。
不登校こそが、世間には認められないものの、人と比べれば段違いの才能を持っている、ということだとか。
そして、彼女はこの小さな道を歩いていた。
「ここに必ずいるはずなんだよねー」
そう言って少女はブンブンと何かを振り回しながらつぶやく、それは、まるでトランシーバーのような、なにか電波を受信できるようなものだった。
そして。
「みいつけた」
彼女はそう呟いて――笑った。
つづく。
マダラカルト 第壱話【自己解釈】
原曲様:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17754841
恐ろしく長くなりそうなので何話かに分割します。
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