先生に夢を書けと言われたから
僕はシャーペンを持ってみた
出来たのは首が妙に長い猫
絵心のなさが悲しい

当然のように怒鳴るのは
仕事という重荷に溺れる先生
僕の絵を見て分かりませんか？
これが僕の夢なんですが

夢に形なんてないのに
世間が勝手に器を決める
誰がそんな型に流し込まれるか
僕は猫がいい

人生の進路を片手に教室を抜ける
当然のように追う先生
僕の方が若いんだぞ

全力疾走の学校生活に溺れる僕は幸せじゃないか
誰も僕を止めず避けてくれるじゃないか
プールまで親切に追ってきた先生は
「捕まえたって」言うけど僕はその手を引いて
春の汚いそこへ飛び込んだんだ


汚れたから替えてもらった用紙には
夢の内容を書く場所
僕の夢をこんな枠に書くんですか？
飛び出してもいいですか？

服の変わった先生は同じ説明で
ちっともオリジナルがないんだよな
先生の夢は何だったんですか？
この枠に収まりますか？

夢の全容をこんなちっぽけな枠に
書き入れてそれがすべてだと
割り切ってもいいんですか？
それじゃ束縛だ

人生の分岐点を前に側道に入る
そんな僕をいつものように
引き留めて言った

全力疾走の学校生活を私も悪くは言わない
だけどそれが契機でお前の人生が壊れでもしたら
私はこの職をやめることにするよと言ったから
僕は決めた手を振り切って先生と追い駆けっこを続けよう

全力疾走の渡り廊下で怒鳴る先生もまた
僕と同じように全力疾走で走ってるじゃないか
プールまで着いたとこで先生は僕に手を差し出す
分かってるじゃん先生もこんな学校生活だったでしょ？
勢いよく飛び込めば見えるはずだ
間違っていたんだと