「ごめん、待たせた?」
「いえ、私も今来たとこです。」
彼女はそういっているけど、多分ウソ。来る途中にいろんな人に話しかけられたからね。

「そういえば名前きいてなかったね。僕はレンっていうんだ。」
「え、えとっ…リン……です…。」
「リン?かわいい名前だね。」
「そうですか!?ありがとうございます!あの……いまさらですがレン様は王子様なんですよね……?」
「…?そうだけど?あと様はつけなくていいから。」
「あっ、はい・・・。」

『………なぜ?』と小さい声で聞こえた気がしたが、気のせいということにしておこう。

「なぁ、リン?」
「ふぇっ!?あっ、はい。すいません」
「もしかして考え事してた?」
「はい・・・。ちょっと小さい頃のことを・・・。」
「小さい頃かぁ。あんまりいい思い出ないんだよね。」
「そうなんですか?私は好きな人いたからなぁ……。いつもその人のことばっか考えて、次はいつ会えるかなぁ…。なんて考えて……」
「で、リンはまだその人のこと好きなの?」
「えっ!?は……はい///」
「そっか………。がんばってね。」

失恋っていうのかな?とりあえず“好きです”って言わなくてよかった。

「レンは?好きな人いなかったの?」
「………。」
「レン?」
「いたよ。」
「えっ!?」
「婚約者だったんだ。誰か知らないけど、婚約者の国を滅ぼしたんだ。今、どうしてるんだろう…。」
「あのっ!!」
「何?」
「………。なんでもないです。聞いちゃってごめんなさい………。」

別に謝ることないのに。そう言いたかったけど言えなかった。



僕が泣いていたから、気を使ってくれたのだろうか。気がついたら、彼女はもういなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

思い出円舞曲 3

もうすぐ終わると思います。

読んでくださってありがとうございました!

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投稿日:2010/02/22 16:45:20

文字数:717文字

カテゴリ:小説

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