異国の大地を駆け巡り
悠久の丘を見上げる
遥かな荒野に登りゆく
寂寥の夕日

右手に掴んだ左手は
いつしか離れて虚しく
求める空手は中空を
掴み取るばかり

天駆ける星の夢に
澄んだ涙が風に流れ
水鏡(すいきょう)に映る鳥へ
波紋を落とす時の果実

誰も知らぬ終わりを求め
郷里の歌を救い出せ
愛を知らぬ廃墟の中で
空虚な闇がさんざめく

琥珀の炎の見る夢は
諸刃の幼き幻
羽散る数奇な青鳥が
峰の間を進(すさ)ぶ

運命(さだめ)と出会うは人踏まぬ
茨に捕らわる歌姫
閉じゆく空手が月裏に
掴み取る明かり

葉の音(おと)に光が射し
逆立つ波に歌が流れ
突き出す剣を返し
再び見(まみ)ゆ荒れた両手

誰もが知る奇跡に出会い
流れる歌の温もりを
愛の溢る涙の粒が
右手に掛かり掻き消える

誰も知らぬ終わりを求め
幾刃(いくば)の歌を奏で合え
愛を知らぬ闇夜の中で
小さな種子が芽吹き出す

堪(こら)えられぬ痛苦を感じ
引きずり歩く行方には
失われた記憶に出会い
両手に時を取り戻せ